イングランド・スコットランド放浪記6

 断続的に連載してた2年前の旅行記も今回で最終回。読み返してみると、マニアックだけどとても充実した旅でした。まだまだ英国でやってみたこともあるので、また同じような「こだわりの旅」をしてみたいですね。今年の夏こそはlつ!

7日目 8月26日(金)「ロンドン観光」

 昨日の疲労がまだ残っていて、目覚めがイマイチ。やはり長距離移動は体にこたえる。次からは飛行機を活用しよう。たいして値段変わらないような気もするし。朝食を済ませ、飛び出したのはロンドンの街。結局4泊してこんな風に1日市内を巡ったのはこの日だけ。なんだか変な感じ。

 午前中はぼくの「市内観光」を優先するということで、Sightseeing用の屋根無しダブルデッカーに乗る。ピカデリーサーカスまで地下鉄に乗り、トラファルガースクエアに向かって歩いていると、そのバスを見つけ飛び乗る。結構高価かったけど、天気も良かったし、3度目とはいえベタベタの市内観光はしたことがなかったので、ちょうどいい感じ。
 もともとぼくの仕事の資料集めとしての企画。ロンドン市内の様子をビデオや写真に残してきたかったのだ。トラファルガーから、テムズ川沿いを行ったり来たりしながら名所を巡る。そういえばロンドンブリッジもタワーブリッジも渡るのは初めて。前に来たときはビッグアイ(世界最大の観覧車)はなかったし、ずいぶん開発されているエリアもあり、新鮮な発見が多かった。

 天気は良かったけど、風が少し冷たかった。結局コース全部を回るのはやめて、ハイドパークを過ぎ、マーブルアーチのあたりで下車。オックスフォードストリートをぶらぶら。トイレに行きたくなりいろんな店舗を見て回るけど見つからず。結局ボンドストリート周辺のセルフリッジ(デパート)まで行ってなんとか見つける。そういえば前に来たときもココのをよくつかってたかも。ホントこの国の人たちはどうやってトイレを済ませるのだろう。

 昼食を済ませ、午後はHくんと別行動をとることに。二人旅も佳境。そろそろ個人行動も気分が良いものでしょう。というか、Hくんはロンドン観光の1日はナショナルギャラリー(美術館)で過ごすんだ、と出発前から決意していたので、予定通りといえば予定通り。ぼくはナシャナルギャラリーには何度か足を運んでいたし、ショッピングもしたかったので、ボンドストリート周辺をぶらぶらすることに。

 ボンドストリートはロンドンの高級ブティック街。ぼくなんかがジーンズで歩いているとちょっと場違いな気もするんだけど、東京の高級ブティック街を歩いているときより、「街に受け入れてもらっている」気がするから不思議。懐が深いのでしょう、街の。だからロンドンって都会なのに居心地がいい。

 バーバリでちょっとしたものを購入。日本人スタッフを避けるように英国ショッピング気分を味わうあまのじゃく。ボンドストリートを少し外れると、ポール・スミス・セールショップがある。それこそ10年前に来てたときに、しょっちゅう通っては掘り出し物を探していたあのお店。まだあるかなぁ、というか、まだ道を覚えているかなぁ、と思って角を曲がると一発で見つかった。ちょっとうれしい。あれこれ悩んで長袖Tシャツを購入。このあたりは日本人比率がちょっとだけ高い。まぁ、仕方がないですね。そんなこと気にしてたら世界中どこにも行けないんだけど。

 一通りウインドウ・ショッピングを済ませ、王立美術院の前まで来て、まだ時間があることに気づく。映画を観るほどではないけど、喫茶店じゃ間がもたなそうなちょっとした時間。おもむろにケータイを取り出し、東京に住む友人にコール。数年前までロンドンに住んでいた友人Sにアドバイスを請う。

「じゃあ、あたしの学校行ってみたら? 美術館もあるし」

 ということで、サマセットハウス内にあるコートールド美術館に行くことに。Sはここの大学に通っていたのだ。元王宮だけあって豪奢なつくり。でも品がある。真ん中に噴水のある広場があって、家族連れでにぎわっている。にぎわっていると言っても、トラファルガーのそれと比べればずいぶん落ちついていて、ベンチに座り眺めていると結構のんびりできてしまう。意外な穴場かも。

 美術館もマネあり、ゴッホあり、ルーベンスありで小さいながらに結構充実。ゆっくりと絵を見るにはなかなかいい場所です。しばらくぼんやりと時間を使い、くつろぐ。たった1日のロンドン観光をこんなにぜいたくに過ごしてよいものなのだろうか。いや、よい。結局マネの絵に妙に惹かれて大きめのおみやげを買ってしまう。

 トラファルガーでHくんと再会。彼を連れてもう一度コートールドへ。美術館は閉まっていたが、中庭でのんびり。彼も気に入ったようだ。このままホテルに帰るのも惜しいので、何か観ようと提案。ロンドンのナイトライフはこれからです。とりあえずいくつかの劇場を回り、ミュージカルのスタンバイチケットを探すも、「わかりやすそう」という理由で「STOMP」に決定。当日券もあったので、ちょうどよかった。「STOMP」は笑いあり、ダンスあり、演奏あり、のエンターテイメント。最初劇場に入ったときは「こんなに小さいステージなのか」とちょっとがっかりしていたのだけど、想像以上の内容。すっかり魅了されました。

 ロンドンライフを満喫した二人はアールズコートへ。明日はついに日本へ帰る日。短いけど充実した旅は、ついに終わりを告げようとしている。8日間おつかれさま。Hくん、いろいろありがとう。