採点者代理制度

書くことの指導にともなう問題点

 50分の授業時間を考えると、一番悩むのが書くことの指導のための時間。単純に書くスピードの差もあるけど、文法定着のためのプリントなどをやらせると、ものすごく時間差が出てしまい、早く終わった子はヒマを持てあましてしまうし、全然わからない子はいくら時間を与えても終わらない。

 そしてやっかいなのは答え合わせ。これが一番大事なんだろうけど、週3時間の授業時間の中であまりゆっくりもやってられない。生徒の出番を増やそうと黒板に書かせたりすると、余計に時間がかかってしまう。

 そんな悩みを解決する方法はないだろうかと思案し、導入したのが「採点者代理制度」です。基本的に私の授業ではプリントをやる場合はグループを作り、教え合いを認めているのだけど、「早く終わった子は周りに教えてあげてね」と言っても、やらない子はやらない。

どうやって実施するの?

 プリントが全部終わった生徒は、教師(AETでも可)に採点してもらいに来ることにします。教師は合っているところには○を、間違ったところには下線等を引いてヒントを与えます。

 書く作業でいつも思っていたのは「やりなおす時間」の不足。なぜ間違ったのかを考えてもう一度やり直すのはすごく勉強になるのだけど、一斉に答え合わせをしてしまうと、答えを写して終わりになってしまう。そんな意味でも、この制度は個人指導を可能にするいい方法だと思います。

 さて、何度もやり直して全問正解になった生徒は「採点者代理」に任命されます。教師からもらった「任命証」を首から提げて、「机間支援」にまわります。プリントが終わった生徒は教師か「採点者代理」のどちらかに採点してもらいに行きます。これで教師の採点の負担を軽減することが出来ます。ここでも「採点者代理」は教師と同じように○だけつけて、間違った箇所はヒントをあげるだけ。何度もやり直しをさせます。

 友だちに採点してもらった人も、「採点者代理」になることができます。採点してもらった答案をを教師側でチェックしてあげてもいいでしょう。「代理」がある程度増えたら全体の活動は止めて、次の作業に入ります。ちなみに終わらなかった子たちの答え合わせのためには「解答」を配ったり、貼り出したり、用紙を回収したりします。何かしらフォローは必要でしょうね。

活動をする上でのポイント

 それから「任命証」にはNo.1〜No.10まで番号が入っており、一番早く採点者代理になった生徒はNo.1をゲットできます。裏面には名前を書く欄があって、他のクラスのNo.1生徒の名前も書いてあるので、闘争心に(勝手に)火がつきます。採点した友だちの数なんかもメモらせておくのもよいでしょう。

 「採点者代理」の質を維持する意味でも、最初の採点はかなり辛めにチェックします。また、あとで他の生徒にも解説できるように、「うん、ちゃんとstudiesになってるね」などのようにポイントをつぶやきながら採点してあげるとよいでしょう。人に教えることで、得意な子たちの自尊心をくすぐることができるだけでなく、彼らの「学び」が深まることも期待できると思います。そして何より、みんなどんどん問題に取り組んでくれるのが「時間節約の意味で」教師にとってうれしいことでもあります。