The Eraser / Thom Yorke

The Eraser

The Eraser

 Radioheadのフロントマン、トム・ヨークのソロアルバム。基本的にはRadioheadのアルバム"amnesiac"の雰囲気を受け継ぐ感じ。歌というよりサウンド。音というより響き。ただ、やはり彼の「声」が、今まで以上に機能しているのも確か。ソロでこの路線をやってくれるなら大歓迎。バンドではまた違ったサウンドが期待できるのかも知れないから。それはそれですごく楽しみなことだ。

 夜、車の中でこのアルバムを聴くべきだ。部屋でも、ヘッドフォンでもなく、音はカーステレオから流れてくる。運転に集中しているのか、わからなくなる。もちろんハンドルはしっかりと握られ、コントロールされている。トムの声が聞こえる。やがて頭の中はトムの声で埋め尽くされる。
 
  "You are a fool, you are a fool"
 
 同じ運転中でも、昼と夜じゃ全然違う。窓の外を流れる景色が違う。色が違う。スピードが違う。最高のリスニング・ポイントは「夜9時頃の国道122号線」だ。何かが頭の中で弾ける。

 radioheadがtoo muchな時期もあった。基本的に冬の方がよく聞いていたと思う。でも、なぜ今Thom Yorkeに再びヤラレてしまうんだろう。心がradioheadを受け入れる余裕ができた、ということなのか。radioheadを求めるほど追い込まれている、ということなのか。

 そしてそんな頭の中の混乱を、このアルバムは「消して」いってしまうのだ。