英語教員集中研修 1日目

 ということで、始まりました「平成19年度埼玉県中学校・高等学校英語教員集中研修会」です。今日から10日間、主に夏休み中に出張が続きます。今日以外はほぼ1日がかりで、主にネイティブ講師による英語での講義・演習がおこなわれます。今年で5年目。計画によると最後の年ですので、「今までなんとか逃れてきたんだけど、やっぱりやんないとダメ?」って顔の方々もちらほら。レディネスはバラバラ。ま、生徒と一緒ですね。このメンバーにどれだけ充実した研修を実施できるか、県教委の腕の見せ所です。

 さて、今日のメインは基調講演。毎年それなりの方々をお呼びしてるみたいですが、今年はなんと慶応大の大津由紀雄先生でした。昨年、本は読んだのだけど、生でお話を聞くのは初めて。意外とソフトな語り口で、とても聞きやすい。小学校英語へのポリシーもとりあえずは鞘に収め、「頑固に反対している人も少数いるようですが…」(笑)と淡々と語っていましたね。あ、ちなみに前に読んだ本はこれです。

 さて、講演では先生の専門分野である「認知科学」のお話と、言語学者としての英語教育に対する「私見」を語られました。乱暴にまとめれば、言語の創造性を高めるツールとしての文法が大切だよね、というお話だったかと思います。(乱暴すぎる?) そして母語も活用して「ことばへの気づき」を育てていきたいね、ということです。

 個人的には、この「ことばへの気づき(メタ言語意識)」については言語習得の上でとても大切なものだと思います。私も普段から「ことば」の持つ面白さや不思議について折りにふれて語っているつもり。でもね、大津先生の言う、ことばの「多様性」や「矛盾」といったところに「面白さ」を感じられる生徒って、そんなに多くないと思うんですよね。(だから「増やしていこう」ということなのかもしれませんけど…。) 質疑でも出ましたが、公立の小・中学校でこの認知科学的な「面白さ」をどう生かしていくべきかはまだまだ未知数ですね。いち講義としてはとても興味深いのだけど、研修に先立つ基調講演として聞くにはなんか違和感がありました。というのも、「とにかく英語教員の英語力アップを!」と実施される今回の研修の趣旨や方向性とはちょっと距離があると思うんですよね。まぁ、英語教師として現在の英語教育界の様々な言説に耳を傾ける、という趣旨であるならば大変有意義だと思うし、個人的には大津先生のお話が生で聞けて楽しかったんですけど。

 ラストの質疑応答ではよせばいいのに小学校英語の話題が…。今更「賛成ですか?反対ですか?」はないだろう。「小学校英語については最終的な局面に」「あと数ヶ月は発言を控えたい」という言葉が気になりましたが、「ある方向に決まること」だけは確かのよう。そこは譲っておいて、次の手を打つ準備をしている、といったところでしょうか。

 さて、講演中アンケートをとったら私も含めてやっぱりみんな「読んだことがない!」という「英語が使える日本人育成のための戦略構想・行動計画」ですが、この研修もこの構想に則って行われてるわけですから一応読んでみました。興味ある方はこちらへどうぞ。

文部科学省「英語が使える日本人の育成のための戦略構想行動計画

 というわけで、始まった集中研修ですが、会場では日頃お世話になっている先生方や懐かしい先生方にも会えて、とてもうれしかったです。5年次研修以来、なかなか人と交流する機会がなかったので、とても新鮮です。今後の講師陣も青野先生(蓮田市教委)や松浦先生(広島大)など、楽しみな顔ぶれがそろっているので、純粋に楽しんでこようと思います。気が向いたらここにレポート載せますね。