「教科書内容理解」再考 その1

 英語教師となってずーっと教科書の扱いに困ってたけど、数年前に「教科書音読シート」を使い始めて、音読と内容理解について一定の方向性が見えてきた気がしていた。実際、生徒の活動は充実してきたし、様々な到達度の生徒を抱える教室で同一の教科書を扱う場合、特に2・3年生くらいになると、こういった配慮をふまえた活動が求められるのだと思います。

 とはいえ、またしても「教科書の内容理解ってどうすんの?」という疑問が頭をよぎるようになって、いろいろ思いついたことを書き出したりしているうちに、もう一回「私の考える教科書読解」を組み立ててみる必要があるように思いました。

 ということで、今回は難しい理論とか先行の研究とか全然関係なく、私の頭でもう一回「中学校の英語授業における教科書読解」を考えてみたいと思います。思いつくままに書くので矛盾や誤りもあるかと思いますが、その辺はご容赦を。(というか、むしろ遠慮なく指摘していただけると勉強になります!)

授業パターンの見直し

 そもそも、日頃の教科書を使った授業って、どんな流れでやっているかを再確認。レッスンによってねらいを替えてやっているので、少し変更はあるものの、基本的な流れは同じ。

 (1) 新出単語
 (2) オーラルイントロ(with 場面絵)
 (3) 英語でQ&A 
 (4) 日本語で解説
 (5) 音読練習
 (6) カキトリン(音読筆写)
 (7) 英語で説明

 (6)(7)あたりは、内容やねらいによって形を変えていきます。としても、(1)から(5)までの流れは変わらない。本当にこれで意味があるのかな?

 最近授業をやっていて一番重く感じるのは「レディネス」の違い。塾で内容を全部終えている子(教科書に全部訳が書き込んである)、「教科書の友」を持っている子、しっかり予習をやってきている子、初めてそのページを開く子。これまでは予習を義務づけてなかったので、基本的には初めて教科書を開く子たちをターゲットに授業をしてきたつもりだけど、オーラルイントロや英問英答をやっているときに反応してくれるのは、「予習済み」の子たちばかりなんです。そういう子たちの反応で授業はなんとなく進んでいってしまうのだけど、それじゃ本来のターゲットたちがわかってくれているのか確かめられない。その子たちは私の話す英語を聞いて(あるいはそのとき英文を読んで)内容を理解したとは限らないわけです。

 英語の苦手な子たちにとっては、塾等で予習をしてくることで「授業がわかった!」と実感して、より意欲的に取り組めるようになることだってあります。だから、一律にそれがいけないとも言えないんだけど、それじゃあ彼らはどこで「読み取る」というスキルを身につければいいんだろう?とも不安になります。塾はもちろんそういうストラテジーも教えてくれるけど、どちらかというと「テスト問題に対するストラテジー」に特化した塾が多いのも事実。

 教科書はあくまで練習台だとしたら、そこで学んだスキルを使って、実戦を積む必要があります。今のところそれがテストになってしまっているような気がしますけど、評価の対象としてのテストが初めての実戦じゃ、ちょっとかわいそう。それこそ、塾で実戦を積んでいる子たちばかりが有利になってしまうのでは、とも心配になります。

 ということで、「Tony and the Golden Butterfly」なんていうリーディング教材を作り始めて見たわけですけど、じゃあ教科書はテキトーでいいか、というとそういうわけにもいかない。「Tony」をちゃんと読めるようにするためにも、そこでスキルを身につけていくためのトレーニングがなされるべきなわけです。もしくは他のスキルを身につけるための素材としても活用していく必要があるでしょう。

 じゃ、具体的に何をするか。そこが問題なわけです。現時点では、やっぱり個人で取り組むタスクが必要かな、と考えています。音読シートみたいにレベル別でできたら理想だけど、そんなのは難しいかな。自力で読むときにどんな助けがあればいいのか。分からない単語をクリックすれば教えてくれるヘルプ機能が教科書についてりゃいいんだけど、紙ベースじゃ無理だし。ん?無理かなぁ。そんなことを考えています。

 果てしない思案は続く。

 >>その2へ続く