公立高入学で「誓約書」

6月7日15時1分配信 毎日新聞

<埼玉県教委>公立高入学で「誓約書」 前期試験合格者に

 埼玉県教委が、公立高校の前期入学試験の合格者に対し、入学を辞退しない旨の誓約書を提出させて入学許可の条件としていることが分かった。県教委は「合格者の流出を防ぎ、後期試験の募集人員を確定するため」と説明するが、誓約書提出後は事実上、私学を選択できない状況で、私学側や教職員組合から「優秀な生徒の囲い込みで、人権上も問題」との批判が出ている。

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 ということで、埼玉県教委が急に叩かれています。これまでずーっとこのシステムが存在していたのに急にニュースになるなんて不思議だなぁと思っていたけど、関連する記事を読んでいると背景にあるものがなんとなく見えてきたような気がします。(懐かしい名前が出てますけど、そちらには敢えて突っ込まず…)

 現行の入試制度では、普通科の県立高校は前期で定員の約3割、後期で約7割の生徒を取ることになっています。このことについて、3年前に進路関係の出張に行ったとき、某K高校(地元の進学校)の校長が挨拶の中で、不満を並べていました。「前期で合格させたい生徒がいるのに、合格させられない。それらの生徒が前期落ちたことで私立に流れたり、後期は別のところを受験したりしてしまう」とのこと。なるほど。さらに前期のパーセンテージを変更できないのは「私立からの圧力によるものだ!」とキワどい話を延々と続けていました。

 そうかぁ、県立は県立で悩みがあるんだなぁと思っていたところ、22年度入試(現2年生の入試)から制度が変更になることが発表。今度は前期で7割、後期で3割取れることになるそうです。一転して私立高校の方が焦り始めたわけです。7割も取っちゃう上に、誓約書の縛りもあったらたまったもんじゃない、と今回声を上げたのではないか、と思うのです。しかも、全中学校の教頭を集めて、22年度入試の概要を説明する会を実施する直前の微妙なこの時期に。結局駆け引きの最中なんだなぁ。

 まぁ、これまで「県立に受かったら県立行くんだよ」と当たり前のように指導してきた中学校教諭の立場からすると、「県立を併願にできる」ようになったりすると、進路指導がより複雑になるなぁとちょっと不安。補欠生徒の繰り上げ合格とか出てくるのかな。まぁ、それも他県ではフツーなのかぁ。

 いずれにせよ、今年は同じように指導すると思うけど、このニュースを保護者とかが難しいこととか言い出さないことを祈るばかりです。