合唱曲「聞こえる」

 いい歌だなぁ。これまで「名づけられた葉」が一番好きな合唱曲でしたけど、今ではすっかりこっちがトップに躍り出た感じ。毎日聞いてるからというのもあるけど、生徒たちが愛を持ってこの歌を歌ってくれてると感じるからだろうなぁ。

 合唱曲に絡めて道徳や学活の授業をやることが多い私ですけど、今回はまず学活で「聞こえる」で描かれている1990年頃のニュースを考えるところから。どれも当時衝撃的なニュースだったので、なんとかDVDで手に入れた当時のニュース映像を見せてみた。

 「天安門事件」「ベルリンの壁崩壊」「環境破壊」そして「湾岸戦争」。正確にはこの歌は湾岸戦争の1年前に書かれていますけど、原油流出を歌った「油泥の渚」「海鳥のうめき」はやはりあの映像を思い浮かべさせます。

 そして今度は今、世界で起きている事件を考える。同じ時代に、同じ世界に生きている人たちの身に何が起きているのかを知ること。自分に何が出来るのかを考えること。新聞紙に耳を傾け、誰かの「声」を聞くこと。何が聞こえてくるかな?

 道徳では、3年生を持つたびに挑戦するスーダン「ハゲワシと少女」。報道の重要性を考えるとともに、命の大切さを考える。難しいテーマながらこの授業は特にみんなの心を動かしたようで、一生懸命に考えてくれていました。歌も、ここから少し変わった気がします。

 ひとりひとりは無力です。そして無知であることは、人からさらに力を奪います。だからまず知ること。「聞こえる」という歌に出会わなければ知らなかった歴史の中の人たちの「声」を、他の誰かにも聞いてもらいたい。そう思って歌ってくれればうれしいなぁ。後輩が「聞こえる」に感動してくれて、歌い継いでいってくれれば、また「知る」人たちが増えるんだから。

 そんなお話をしました。

 以下、生徒の感想です。

 最終的には「聞こえる」につなげたけど、世の中で起きている出来事は全てつながっているのかなと思った。でもやっぱりの写真は心が痛くなる。「聞こえる」という素晴らしい曲に出会えて、自分の価値観が変わったと思う。(Fさん)
 本当に自分らが優勝して「聞こえる」来年も次の年もみんながこの歌のことを考えたとして、スーダンの子どもたちが救われるのか?と思う。本当に助けたいなら、行動を起こさなくてはいけないと思う。でも、今自分たちにできる「歌う」ということを、全力で頑張りたい。(Kくん)

 バランスがよく、きれいな歌に仕上がってきました。あとは厚み。気合い、気持ち、熱意かな。あと一週間、心に点いた火をもっと燃やしていきたいです。