ふりがなを巡る4つの約束

 英文にふりがなを振ることには賛否あると思うのですが、私は最近迷わず使っています。英語の歌のプリントなんかにも書き込んでるし、そもそも「教科書音読シート」は、ふりがなによるサポートとふりがなからの脱出が活動のキモになっています。ただし、ふりがなに関しては生徒と4つの約束をしています。

(1)ふりがなは英文の下に

 これは「教科書音読シート」の説明でも書いてますが、ふりがなをふる場合はこちらが予め印刷する場合も生徒が自分で振る場合も、英文の下に書かせることにしています。日本語より英語を先に目にして欲しい(というか、そっちを読んで欲しい)という思いが第一ですが、ふりがなからの脱出を考えた場合にもメリットがあります。

 ふりがなに頼らず読めるようにするためのステップとして、英文の下に定規などを当てて、ふりがなを隠して読む練習をしています。で、どうしても読めないときだけ、定規をずらしてちらっとカンニング。再び、隠した状態で読ませます。これなら家でも一人で練習できるんです。何度も間違える(つっかえる)語には印を付けさせたりしています。教科書やプリントの英文をどんどん下に読んでいくことを考えると、やっぱりふりがなは下に書いてあった方が都合がいいというわけです。

(2)聞こえたとおりに振る

 これはまぁ当たり前ですが、特に音の連結などについて意識して聞こえたとおりに書かせるようにしています。Did youであれば「ディジュー」といった具合。でもALTの英語を聞いて振らせると、結構バラバラになってしまうので、こちらで少し大げさに誘導することもあります。

(3)同じ語には振らない

 一行目で"with"にふりがなを振ったとしたら、もうそれ以降に出てくる"with"にはふりがなを振らない、ということです。これが意外に難しい。そもそも生徒は、今目にしている語が今日初めて登場してきた語なのか、その判断がつかないのです。まぁ、発音ができないのだから、形で覚えておくしかないわけで、特にふりがなを必要とする子にとっては、こういう認知って難しいですよね。だからこそ、一通りふりがなを振ったあとに、もう一度頭から読み直させて自己チェックさせる。「あ、これさっき出てきてた」なんて発見が、そういう認知のトレーニングになっていくんだと思います。

(4)ふりがなは鉛筆で

 これはもちろん、読めるようになったら消してもらうためです。もっとも、印刷前にこちらで振ってしまったふりがなは消せないという問題もあります。読めるようになった語のふりがなはペンで黒く塗りつぶさせた年もありますが、それなら(見栄えとしては)修正液の方がマシかな。まぁ、ふりがな脱出だけを目的にしたプリントとかだったら、真っ黒に塗りつぶされていく過程も、それなりに達成感を味わえるかもしれませんけど、どうも戦時中を思い出してしまう方もいらっしゃるかな。

 とまぁ、こんなルールでふりがなと付き合っています。

 もちろん授業の効率化も狙いではありましたが、家で教科書を読もうと思って読めない生徒をどう支援するか、が教科書音読シートのスタート。特に公立の中学校では、いろんな到達度の生徒を抱えていますので、特に2・3年生以降ではこのような支援も(配慮をしながらとはいえ)必要になっていくでしょう。

 ただ、問題はどのタイミングでふりがなを与えるか。最初からでもいいんですが、2年生以降であれば、自分たちでふりがなを考えさせたり、CDから再現させたりするのも、いいかもしれませんね。少しでも主体的に教科書と向かい合ってもらう意味でも。