英語なんて言葉なんだ、こんなものやれば誰だってできるようになる!

 英語学習をがんばっている友人に誘われて、『竹岡広信・安河内哲也の この英語本がすごい!』出版記念セミナーというのに参加してきました。いつもとはちょっと畑違いな感じで、でも英語教育に関わるという点ではど真ん中で、なかなか面白かったです。

竹岡広信・安河内哲也の この英語本がすごい!

竹岡広信・安河内哲也の この英語本がすごい!

 あ、本は立ち読みしかしてないので、本の中身についてはスルーします。以下、セミナーでの気づきと学び。

 安河内氏が言うように、英語学習教材は本当にたくさんあります。もちろん玉石混淆でしょうけど。そんな中で、まずはひとつの教材をしっかり選び、じっくりと取り組むことの大切さは、時代が変わっても変わらないところなんでしょうね。

 英語学習も、ダイエットも、禁煙も、成功する人が一定の割合に留まっているからこそビジネスとして成立するわけで、完璧な学習法・学習本なんて存在しない。というか、存在してしまうといろんな人が困る。だから生かさず殺さずなんだろうな、と邪推してみたり。ただ一方でこういう本が成立するくらい、ビジネスとしての英語教育が過当競争になってきている実態も見えてきます。生き残りをかけて余計に胡散臭い商品が幅を利かせないことを祈ります。

 なんにしても「英語はお金になる」ということが、他教科と比べて英語科が苦しめられてしまう原因のひとつでもあるように思います。

 さて、個人的には彼らの説く英語学習法やお勧めの学習本そのものより、「教師としての語り」に注目してセミナーを受けていました。

 安河内氏はさすが塾講師。優れたアジテーターです。声、スピード、間ともにある程度の人たちをやる気にさせるエネルギーがあります。(でも合わない人は合わないでしょうね) もっとも、今回集まっている人たちや予備校の生徒たちは、「英語ができるようになりたい」という大前提を持ち合わせているはずだから、それほどハードルの高い作業ではないでしょうけど。(そういう意味では、中嶋洋一・田尻吾郎といった先生方のアジテーターぶりも特筆すべきものがある。「英語関係ねぇし」という人も巻き込むパワーがある。手法はそれぞれ若干違うけど)

 基本的に気分を高揚させる話し方。大切なところはもったいぶってなかなか言わない。こちらのアテンションを引きつけっぱなしで語る方です。個人的には某テレビCMよりは好感が持てました(笑)

 一方で竹岡氏の語りは対照的。淡々とつぶやくように面白いこと言ってる。あのテンションいいなぁ。ポイントになることは、あえて声をひそめてささやく。まぁ、昨日の場合、ポイントというよりオチという感じだったけど。個人的には竹岡氏のノリが好きだなぁ。自分ではできない芸風だからかな。そういう意味では、安河内氏との対照的な組み合わせによって、さらに生きてた感じもします。そして自らの話しぶりを例に出し、「口下手は口下手なりに話せればいいんじゃないか」と第1言語の能力やセンスとの関係も語ってたのが印象的でした。

 本の企画も含めて、異なる趣味嗜好の2人に学習本を選ばせた、という設定そのものは、なかなか面白いと思います。

 気になる発音に関しては特に安河内氏は「通じりゃいいじゃん派」のようなので、あの本とかあの本とかは選ばれてませんでしたね。残念。セレクションに際してちゃんと読んではいたのかな。気になるところです。

 さて、どうでもいいことだけど個人的に一番気になったのは、学習をなかなか継続できない人への安河内氏のコメント。

英語なんて第二言語なんだからできるようにはならない

 もちろん「すぐには」とか「簡単には」とか「母語話者のようには」という意味で、でしょうし、だから諦めないで時間をかけてがんばれ、と励ましてはいるんですが、あれ?でもそれって、日本代表戦の合間に突然アップで映る谷垣さんと同様にやや顰蹙買ってた某予備校のCMで言ってた、

英語なんて言葉なんだ、こんなものやれば誰だってできるようになる!

と矛盾してません? いや、使われてるコンテキストが違うのはわかってるんですけど(笑)共通点は「英語なんて」くらいでしょうか。

 いずれにしても、たまにはちょっと違う風に当たるのもいいな、と思いました。せっかくの機会なので、今後もいろいろ足を運んで見ようと思います。