合唱の秋(の思い出)

 いろんな手続きやらお願いやらで所属校に。

 そしたらちょうど合唱コンクール前の「プレ大会」の日だったようで、「せっかくだから聴いていけ」というお言葉に甘えて、自分が所属していた学年のプレを参観してきました。

 あの頃、彼らは1年生で、まだまだ子どものような声で一生懸命歌ってた思い出がありますが、3年生となった今は、なかなか迫力のある歌声。立派に成長していますね。

 例年は、現任校合唱部にその創作の由縁がある「走る川」が人気なんですけど、今年は珍しくどこのクラスもそれを選ばず、それぞれ「聞こえる」「虹」「流浪の民」と違う路線で勝負をかけてきました。曲調も歌詞の世界も三者三様。それぞれに雰囲気をつくれるかが勝負ですね。あと一週間でどこまで仕上がるか、本番が楽しみです。

 思い返すと、3年前の3年生で私のクラスが歌ったのは「聞こえる」でした。湾岸戦争天安門事件のビデオを観て、「何もできない自分」のいらだちをみんなで考え、共有したコンクール一週間前の学活を思い出します。時代が大きく動いている2011年でもタイムリーな1曲ですね。本番で歌いながら、自分たちの歌に感極まって涙を流していた子たちでした。

 その3年前、現任校に来た年の3年生では「流浪の民」を歌いました。女子が11人しかいない学級で、あの歌を歌ってしまうんだから、本当にすごいです。ロマの歴史を調べて、彼らがつかの間の宴を心から楽しむ心情を表現しようとがんばりました。ちなみにさらに昔、自分も中学生時代にこの曲を(しかもテナーソロを)歌った思い出もあります。

 今年、3年生を持っていたら、きっと「虹」を選んで欲しかったなぁと思います。「空」「雲」「ひなげし」といった「ふつうの言葉」が並ぶ分、他の曲より、解釈や表現が難しい曲ですよね。派手な盛り上げではなく、さわやかにしんみりと終わっていくのも難しい。でも気持ちのいい曲だなぁ。(Nコン課題曲ポップ路線のギリギリの成功例だと思います)

 こういう、歌詞を元にした迫り方ができるのって、やっぱり3年生ならではですよね。そのために一緒にいろいろ調べたり、考えたりするのが楽しいんだよなぁ。進路選択が迫って、初めて自分の人生を考え始める時期に、自分と歌を重ねわせて、より深く考えられる歌もたくさんあります。そう考えると、やっぱり3年生の担任が(もちろん大変ですけど)一番充実しますね。生徒と先生方の様子を見ながら、羨ましく感じた一日でした。

 そして、振り返ってみると、私がこれまでに勤務した中学校は「合唱に一生懸命取り組む雰囲気のある学校」ばかりでした。きっとそれまでの卒業生や先生方が、つくってきた文化の上でやらせてもらっていたんですよね。感謝、感謝です。