学級懇談を盛り上げる「リフレーミング」タスク

 保護者会&学級懇談でした。

 いつもあまり担任のぼくが話さなくて済むように話し過ぎないように、意図的に保護者に話してもらう時間を作っています。

 たいてい学級懇談後にも教室や廊下でおしゃべりに花を咲かせる保護者のみなさんの姿を見ていると、保護者というのは話を聞きに来ているのではなく、話をしに来ているんだなぁと感じます。だったら、学級懇談の時間に満足するくらい「懇談」してもらうのが一番かなと考えています。

 今回は、担任の自己紹介とクラスの経営方針を簡単にご説明した後、保護者にひとつのタスクを与えました。さながら「授業」の感覚です。前にもちょっと書いたことはありますが、もう少し詳しく今回のタスクをご紹介。

 まずA4版の白紙を一枚ずつ配布して、

「十人十色」と言いますが、私は場面によっていろんな姿を見せる生徒たちを見ていると「一人十色」だなぁと感じています。では、お子さんの「いいところ」を10個書きだしてください。

と指示します。時間は3分。悲鳴が上がります(笑) なかなか書けなくて苦しんでいる保護者には、「どんな小さなことでも当たり前のことでもいいので」と「机間支援」します。

 3分後、今度は裏面に「気になるところ」「直してもらいたいところ」を書いてもらいます。表面の数を上回ってしまうのは切ないので、こちらは制限時間1分くらい。まぁこっちのほうがペンが滑らかに動く人が多かったりしますけど(笑)

 で、ここで4〜5人組のグループを作ってもらい、グループに1枚の「辞書」を配ります。

 これは「エンカウンターで学級が変わる〈Part3〉中学校編」という本で紹介されているアクティビティーに登場する、人の特徴や性格を表す「悪い言葉」を「いい言葉」に書き換えるための「リフレーミング辞書」です。これが面白いんです。例えば、「乱暴な」という言葉を調べると、「情熱的な」という「意味」というか「書き換え例」が載っています。他には、

飽きっぽい → 好奇心旺盛な
ずうずうしい → 行動的な
人に合わせる → 譲りあう心のある

といった感じです。似たようなものはこちら(→「リフレーミング辞書)でも紹介されていますが、これは通知表の所見執筆にも役立ちますね。

 結構無理矢理な書き換え例もあるんで、それらを読んでみんなで大笑い。「まぁ、言いようによっては『行動的』とも言えるかもねぇ」「いや、◯◯くんは十分『行動的』だと思うわよ」などと、ひとつの特徴も他の人から見れば違う言葉で表現できることを体験できます。そこからみな子供たちの家での様子を話し始めて、この辞書を囲んでグループでわいわい話が盛り上がり始めます。グループで1枚、というのがよかったのかも知れません。いい雰囲気です。

 ひととおり話が弾んだ後は、

さっき裏面に書いたネガティブな言葉を、この辞書を使ってポジティブな言葉に書き換えて、表面の「いいところリスト」に書き加えてあげてください。

と指示します。

 これで最初は3つくらいしか書いてなかった「いいところ」がこれで6つくらいになったところで、今更ですが保護者のみなさんに自己紹介をしてもらいます。といっても名前を言ってもらうだけなんですけど、今せっかく書きだしたリストの中から1つ選んで、「(ああ見えて)◯◯◯な△△の母です」といった感じで、お子さんのいいところを「枕詞」にして名乗ってもらいます。

 それでもお子さんの悪いところを言おうとする保護者も中にはいるので、その場合は「そんな謙虚なお母さんを持つ△△くん」みたいフォローして笑いを取ります。でも総じていい雰囲気になります。

 最後に、

「一人十色」と言いましたが、お子さんたちはおうちの方が見ていない学校では別の「いいところ」を見せていることだってあります。家庭で見せる「いいところ」5つと、学校で見せる「いいところ」5つを合わせて、それで10個になりますね。お互いに、そういう情報を持ち寄れるよう、連絡を密にしましょうね。

とキレイにまとめて、懇談時間(45分)は終了です。

 授業を「参観」してもらうより、こうやっていわば授業を「体験」してもらう方が、ぼくという人間をわかってもらえるでしょうし、家に帰って子どもとの話題も増えるかなと思って、最近はずっとこんなスタイルです。いろいろやらされるから嫌だ、という保護者もいるかも知れませんが、そのせいで参加者が減っている感じはありませんので、概ね好評なのかなと勝手に考えています。さて、次回は何やろうかな。