さて、日曜日におこなわれた4月のSETC&ASTEKは12人と大盛況。年度初めだし、マニアックな話だし、あんまり集まらないだろうと思って狭い部屋にしてましたが、席が足りなくなりそうな勢いでした。有難い限りです。
そして今回の特徴は、修士課程・博士課程で学ぶ院生の方々が4名も参加してくれたこと。同時に、中高で教える現職教員も8人いらっしゃったので、アカデミックな部分と実践的な部分をつなぐお話ができて、とても有意義な会になりました。
前半は私の修士論文を簡単に説明。専門用語に頼らず、現職の先生方にもわかりやすいように言葉を選んでお話したつもりでしたが、やっぱりマニアックな話になってしまったでしょうか。いろいろお話はしましたが、結局は「自己表現」に代表される「模範解答が存在しない、書き手が書く内容を自由に決められるようなお題」は、生徒の英語力を十分に引き出さない可能性もある、ということをお伝えしたつもりです。だから、バランスよくいろんなお題をやりましょう、というのが私の論文の「教育的示唆」になります。
後半は、そういった研究成果を受けて、じゃあどんな活動やお題を授業に取り入れていけばいいのだろうか、というお話。
内容に関する書き手の自由度を縦軸に、そして実際に書く英文の量を横軸にプロットしてみると、現在中学校の教室で「ライティング」と銘打って取り組まれている活動は、下図のように分布しています。
とすると、「和文英訳」のようなガチガチの問題から、いわゆる「自己表現」的な「自由英作文」まで一気に飛躍しすぎている感じもします。新しい教科書では「プロジェクト」的なライティング課題がレッスン間に配置されている場合が多いですが、それらもテンプレートに穴埋めするだけなものが多く、効果的に間をつなぐ役割を果たしているとは言えません。
やはり、「和文英訳」から「自由英作文」に右上に向かっていく線上にある円で示したあたりの活動がもっと教室に取り入れられていくべきではないか、というのが個人的な意見です。で、これまでに取り組んできた(あるいはこれからやってみたい)ライティング活動を書きだしてみたら、結構その円の中に含まれそうな活動もあったのでご紹介。
おお、結構いろいろありますね。
一番下のあたりは、「書くための回路をつくる」書写活動。中1の最初だけでなく、継続的に写す活動に取り組ませて、純粋に書くことに対する抵抗感を減らしたいと思って取り組ませています。
「和文英訳」と「自由英作文」をつなぐ活動として特にイチオシは「4コマ英訳」と「4コマ英作文」でしょうか。「4コマ英訳」は、4コマ漫画をstory tellingする感じで、モデルになる答えはあるものの「和文英訳」よりは少しだけ自由度もある感じ。一方で「4コマ英作文」は、自由英作文を書く前に(棒人間でいいので)そのお話を4コマ漫画として書いてから英文を書く、という活動です。どちらも絵(漫画)が介在することで、適度な自由度と適度な具体的イメージを書き手に与えることができます。今後、これらの実践をもっと積み重ねて、まとめてご紹介できればいいなぁと考えています。
今回のサークルにお持ちして、ご紹介したライティング関係の書籍はこちら。
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ライティング・ワークショップ―「書く」ことが好きになる教え方・学び方 (シリーズ・ワークショップで学ぶ)
- 作者: ラルフ・フレッチャー,ジョアン・ポータルピ,小坂敦子,吉田新一郎
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