家庭でひとりでも勉強できる教科書に

 今日は出張で教科書展示会に行って来ました。

 といっても、中学校は今年の4月からもう新しい検定教科書になっているわけで、数年後にまた採択し直す際には各社ともまた新しい教科書になるんだから、今見に行く理由ってなんなんでしょうね。昨年採択前にもぼくはちゃんと見てきたけど、結局「どの教科書がいい?」って誰もぼくに聞いてくれないし、なんだかなぁという感じ。

 で、昨年は採択期間中だったので、なんとなくブログでも個別の教科書についての具体的な言及は避けてたんですけど、今なら別にいいよね?(ちなみに当時書いたのは「教科書の役割、教師の役割」という記事)

 今日改めて6社パラパラと眺めてみた感じでは、教育出版のONE WORLDがまぁまぁいい感じ。あ、本文とかちゃんと読んでないので、英語の質とかシラバスデザインとかまではわかってないんですけど、紙面の構成がシンプルなのが気に入りました。

 本文の左下には基本文と新出文型に関する短い解説。そしてその例文がいくつかという構成。ListeningやSpeakingの練習素材は右下にちょっとだけ。罫線とかもシンプルで、全体的にすっきりした印象です。お金のある採択数の多い会社のは、色数も多くデザインもちょっとごちゃごちゃし過ぎかも。

 もうひとつONE WORLDの面白いところは、たった1行だけど基本文のところに「現在完了(経験)ではeverが一緒に使われることが多い」みたいな文法の要点が書き添えてあるところ。他社のを見ると、新しい文型が登場するそのページにその文法の説明がちゃんと書いてある教科書って意外とないんです。全体的に、章末にそのレッスンで登場した新出文型をまとめているものが目立つけど、英語が苦手な生徒からしたら、それぞれページにこそ解説が書いてあって欲しいはず。まとめを見ても、それぞれのページと結び付けられない生徒が多いでしょうから。

 だから、もっと文法の説明をしっかり載せて、ひとりでも勉強できるような教科書にするべきだと思うんです。もう教師が「虎の巻」を独占して、もったいぶって伝授する時代ではないと思います。

 開隆堂のSUNSHINEは思い切って左側のページを「アクティビティー」にしちゃったけど、ああいうのが可能なら、「左側半分は文法解説と例文集」なんて構成だってアリなんじゃないかと思います。もっと言えば、和訳だって、新出単語の意味だって、見開きで眺められるページの中に全部書いてあっていい。いっそ教師用教科書や教科書ガイドみたいな教科書になっちゃえば、「訳先渡し実践」同様に、教師は授業中に生徒に英語を使わせることに頭を使うようになるでしょう。「基礎英語」等のテキストがそういう構成なんだから、語学テキストとして別に問題はないはずです。

 SUNSHINEは、アクティビティーを全面に出した紙面構成で、教師に授業スタイルの変革を迫っているのだと思いますが、実は左側に和訳と文法解説を載せちゃったりした方が、教師の授業スタイルは変わらざるを得なくなるような気もします。

 まとめが載ってれば板書も減らせるから、もっと意味のあるライティング練習に時間と手の力を回せると思うんだけどな。どっか、そんな教科書作ってくれないかなぁ。(そして検定通してくれないかなぁ)