2012年7月例会のご報告

 本日はSETC&ASTEKでした。直前でのご案内にも関わらず、参加して下さったみなさま、どうもありがとうございました。

 今回は「スピーキング指導」をテーマに設定しましたが、序盤はICT関係のお話で人盛り上がり。あ、でもこういうICTって、スピーキング活動とは相性がいいように思います。画像などを提示することで、生徒の発話を引き出せますもんね。ALTが画面のこちら側に質問する短い動画なんかを撮り貯めておく、なんてアイディアをいくつか共有。さらに実験ムービーを即席で撮ってみるなど。

 さて、本題に入ると、話題の中心はいわゆる「コミュニケーション活動」への疑問。

 「教室内を歩きまわってたくさんの友達と英語で会話をする」といった「コミュニケーション活動」では、生徒の発話の正確性は担保できません。かといって「コミュニケーションへの関心・意欲・態度」を伸ばしたり測ったりするのにも本当に役立つのか疑問です。前者については「アクティビティー考」で、後者については「「コミュニケーションへの関心意欲態度」を斬る」という記事で、少し前に関連するようなことを綴りました。

 「スピーキング」と聞くと特に中学校教師は「誰かとの対話」を思い浮かべてペアやグループでの会話活動ばかり取り組みがちですが、最近の私はPicture Descriptionや教科書再生のような「ひとり語り」に傾倒しています。これはライティング指導で何度も申し上げているのと同じで「答えのある自己表現」へのこだわりに依るところが大きいです。

 とはいえ、たまーにいわゆる「コミュニケーション活動」的なものをやったりすると、生徒がそれなりに楽しそうに取り組む姿が見られて、「ああいうのもいいのかもしれない」とちょっと考えてしまいます。まぁ、それは「英語が話せるようになった」という実感を伴う「楽しさ」なのかは疑問ですが、中学生の発達段階やクラス運営を考えると、一定の価値もありそうに思えていきます。

 また、英検の二次試験に備えて面接の練習をやってあげたりしていると、英語が得意な生徒でも意外に簡単なやりとりでも途方に暮れてしまっていたりするので、どこかで「誰かとの対話」の経験を積ませてあげなくては、とも思います。(もちろん生徒同士の「会話ごっこ」がそのための「経験」に値するのか、という議論もあります)

 「ひとり語り」にも「誰かとの対話」にも共通することは、「頭の中に思い浮かべた事象を、自分で英語に置き換えて表現すること」が求められていることです。「誰かとの対話」の場合はそれに加えて、そのリアクションに速度が求められたり、相手の言っていることを理解する能力も求められたりするだけです。コアな部分は「語彙」と「意味順」と「正しい発音」さえ身につけば、対応できそうに思うのです。この3つが今年のこだわりだったりします。

 まだまだ悩みながらではあるのですが、少なくとも私の授業における「コミュニケーション活動」の占める割合は変化しつつあります。この3年生がどこまで「話せる」ようになって卒業していくか、自分でも楽しみにしながら、指導していきたいです。