英語の「骨組み」を考える

 さてさて今週から3学期の授業も本格的に始まっています。

 3年生は「アンネの日記」です。今年はちょっとひねって、こんな本を英語で紹介するところから内容の導入をしてみました。

 ひねり過ぎですかね? でも埼玉県民は、不当な非差別をよりリアルに体感できていたように思います。まぁ、あくまで導入ですので、ここからしっかり本編を深めていきたいです。

 さて、先日のe-prosのご報告を。

 今回は「英語の骨組みが身につく授業のアイディア」というお題でお話をさせていただきました。この1年間は、この「骨組み」というのが自分の中のキーワードでしたね。先日のe-prosを一区切りにと考えていたので、この辺でお座敷でお話していたことをブログでも簡単にご紹介しておこうと思います。

 ざっくり言っちゃえば、英語の授業でまず身につけさせたいのは、「何を語るか」ではなく「どう語るか」ということですよね、というお話。語る内容(伝えたいこと)は主に名詞などの「内容語」で構成されてますけど、トピックなどに依存してしまう内容語より、どんな話題でも必要になる基礎的な文法項目やいわゆる「機能語」のほうが、スムーズに使えるように身について欲しいものだと思うのです。

 私はその「内容語」と「機能語」を、それぞれ「お肉」と「お皿」に喩えて、説明してきました。

 「伝えたいこと」という「お肉」を、どういう「お皿」に盛りつけるか、ということがしっかり考えられる、もしくは考えなくても自然に「お皿」を選べる、という状態を目指したいですよね。

 そのためには、極端な話、どの質問にもすべて機械的にYesで即答する「クイック・レスポンス」のような形式のみを繰り返し訓練することも必要なんじゃないかと思うんです。もちろん、形式が身についたら、その形式を使って意味やりとりをする「答えが言えないWho am I?」のような練習も計画的に設定します。

 「骨組み」をテーマにした一連のお座敷では、ここから音読の話をしています。基本的に音読時にストレスが置かれる内容語と、優しく軽く読まれる機能語を、対比的に扱いながらピコピコハンマーを使ってリズム音読の練習をします。足踏み音読もやります。(あ、今月号の「エイエイGO!」では足踏み音読が登場するようなので、そちらも要チェックです!)

NHKテレビ エイエイGO! 2016年 02 月号 [雑誌]

NHKテレビ エイエイGO! 2016年 02 月号 [雑誌]

 靜先生もよくおっしゃってましたが、音読でメリハリをつけるためには、強調するところを頑張るんじゃなくて、まわりの電気を消すことが大切です。つまり機能語をいかにさらりと自然に読むことができるかがポイントです。

 ところが困ったことに、その単元で初出のターゲットとなる文法項目は、意外と機能語が多くて、実際には強く読まれないことが多いですよね。(例:下の赤字)

 このギャップって、意外と意識していない英語教師が多いように思います。生徒に気づかせるために、関係代名詞のwhoを強くはっきり読んでばかりいたら、生徒はそういうものだと思っちゃうし、実際に聞き取る時の感覚をずっとつかめないままになってしまうでしょう。自分もずっとそんな感じだったと思います。

 「骨組み」お座敷の前半は、だいたいそんなお話です。「話す・聞く」を中心に、形式と意味と音との関係を考える時間にしています。アクティブ・ラーニングとかが話題になる最近のお座敷界において、地味だし、なんだか堅苦しい話をしているようにも思いますが、アクティブ・ラーニングを通して身につけさせたい英語力だって、そういうもののはずです。というか、そういう部分を共通理解しないまま、「どうやって教えるか」を話していても、しょうがないと思うんですけどね。

 ということで、次回は「骨組み」お座敷の後半戦、「文法・読む・書く」のお話がご紹介できればと思います。