私のトリセツ

 3年生の通常授業が終わりました。あとはテスト返却を残すのみ。最後の授業って、どうも力が入ってしまって、いろいろ語ってしまいがちです。どんな進路に進むにせよ、今後も英語とのかかわりは続いていくでしょうから、少しでもポジティブなものになればいいなと願っています。

 さて、教科書では、3年生の最後は「自分史」になっています。過去形、現在形、未来表現を駆使して、自分を英語で表現するというストレートな「自己表現」がゴールの活動として設定されていますが、昨年度はちょっとアレンジして、「20年後の自伝を三人称で書く」という変化球を試してみました。ちょっと難しいかなと思ったけど、想像以上にたくさん書いてくれて、とても素敵な取り組みになりました。

 今年の3年生は、私一人で担当していたわけでもないので、最後のプロジェクトに昨年ほどは時間が割けず、でも何か面白いこと書かせたいなぁと思っていたところ、思い浮かんだのは「私のトリセツ」づくり。年末の紅白歌合戦で見た、西野カナがここで降ってきました(笑)

 自分を何らかの製品に見立てて、概要説明、主な機能、注意事項という3点について書かせます。本当はもうちょっと海外のトリセツっぽいビジュアルを用意したかったのですが、とりあえずこの枠組みで書き始めました。時間があればそれっぽいフォーマットで清書しようかとも思ってましたので。ALTが書いたモデルを参考に、思い思いに書き始めました。

 ALTは代名詞heを使っちゃいましたので、生徒たちもhe/sheで書いていました。擬人化を強調するなら、itのほうがよかったのかも知れませんが、ギリギリの人間味ということで、性別情報が残っていてもいいのかな、と読んでいて思いました。

 いわゆる「自分史」より面白いなと思ったのは、「トリセツ」という体をとったことで、より複雑な文構造を自然に引き出せました。3年生であっても自分を語るとなると、He likes〜. / He plays〜.の羅列になってしまいがちですが、モデル文のノリに引っ張られて、

He gets happy when he....
If you...., he will....
A cup of coffee makes him....

といった中学3年生らしい英文がたくさん見られました。特にモノが主語になった文を自然に書いてみた経験は、高校以降の英語学習にとても役立つんじゃないかと思います。

 また、「三人称で自分史」の時と同様に、客観的に自分を語ることで、かえって自分の内面をさらけ出すことができている生徒が多かったのも印象的です。「『嵐』を与え過ぎると、勉強しなくなります」みたいな文が、意外な生徒の作文に並んでいたりすると、今さらながら新しい発見があって、とてもおもしろいです。中学生の「自己表現」にはやっぱり、こういう情意フィルターを取り除くような仕掛けが大切だと改めて思いました。

 多くの3年生は3月上旬の公立入試に向けて、最後の準備中です。3学期は、「ペンタスロン」を通して、自分の意見を理由を添えて言う、書くという練習もしてきましたから、埼玉県の高校入試問題(の最後の英作文)もしっかり書けるんじゃないかと思っています。頑張って欲しいなぁ。