Think Simple

 スティーブ・ジョブズと一緒にアップルの広告に関わってきた、クリエイティブ・ディレクターであるケン・シーガルによる、スティーブ・ジョブズ評伝であり、ビジネス書であり、自己啓発書のような一冊。

 Kindle Unlimitedのリストにあったからなんとなく手持ちのKindle Paperwhiteに入れておいたのだけど、気がついたら朝読書の時間なんかも使って最後まで読んじゃってました。通勤方法が最近少しだけ変わって、本を読む時間ができたのも大きいかも。

 言っていることはいたって「シンプル」で、ものごとは「シンプル」に進めよう、ということだけ。

 でも、これだけ優秀なクリエイターが集まっているアメリカの代理店であっても、残念な広告をたくさん生み出してしまうのだから、「複雑さ」の罪深さと言ったら言葉もありません。「シンプル」でいるためには、本当に勇気が要るし、最終的にはやっぱり元々が「いいもの」でないと、シンプルにしたところで特段輝くものにはならないわけです。当たり前なんだけど。

 広告好きとしては、あのThink DifferentキャンペーンやGet a Macシリーズの内幕を覗き見られてとてもワクワクするし、iMacネーミングの逸話なんかも、読んでいてドキドキします。そんなストーリーの中で、見え隠れするジョブズの成功や失敗を知ると、まるで一緒にバックステージで見ているような気分になります。


 数あるジョブズ本の中で、特に変わった仕掛けがあるわけでもないけど、シンプルにケン・シーガルという広告ディレクターの足跡を世に残すものとしても、面白い一冊なんじゃないかなと思います。

 自分が今やっていることにもそのまま活かせそうな「シンプルの魔法の杖」を、私は勇気を持って振ることができるでしょうか。乞うご期待。

Think Simple アップルを生みだす熱狂的哲学

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