過去形の定着をねらったアクティビティを考える

 教科教育法の1つでは、過去形の定着を目指すためのアクティビティーを学生に考えてもらって、模擬授業をしてもらいました。活動は、ドリル的な形式練習でもいいし、過去形を使ってコミュニケーションをする練習でもオーケー。自分たちで目的を持って設定するように指示しました。結構面白い活動をやってくれたので、いくつかご紹介。

 

【ペア1】「私はだあれ?」

 4人組になり、1人が配られたカードを自分の頭の上で(自分では見えないようにして)掲げます。周りの人にもヒントカードが配られるので、一人ずつヒントとなる英文(過去形)を読み上げます。それを自分に配られたカードが誰だかを当てる、という活動です。過去形が自然に使えるように「徳川家康」とか「福沢諭吉」など歴史上の人物を答えにしてました。

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 これ、仕組み面白いですよね。インディアン・ポーカー形式というか、情報のギャップをうまく使っています。

 私からのアドバイスとしては、(1)ヒントカードにほぼ英文が書いてあるのでこれをキーワードだけにすれば、自力で考えるいい練習になること、(2)1つめのヒントで分かってしまうと、3人めの人が英文を言う意味合いがなくなってしまうので、3人ヒントが言い終わってから答えを言ってもらう、などを伝えました。

 また、活動量を増やすためだったら、思い切ってその絵を背中にセロテープで貼ってしまって、お互いに自分のことを周りの人に聞きあう活動にしたほうが、待っている人が少なくて活動量が増えるかな、なんてお話をしました。

  

【ペア2】「即興で感想ドリル」

 Did youの質問が10個くらい書かれたリストを配ります。2人組で、1人がDid you〜?で質問をすると、もう1人がYes, I did.で応じて、その感想を言う、という活動です。質問内容に合わせてふさわしい形容詞を選ぶ練習でもあるんだけど、形容詞によってはIt was...になる場合とI was....になる場合があるので、その区別も練習する場面に。形容詞のリストも用意してました。

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 全員Yesと答えさせるところまでは自動的で、その先が練習というところが面白いですね。Q&Aのところはみんなが「できること」が前提になるので、自然と頑張らないといけなくなります。(そこをしっかり練習することが大切ですね)

 難しそうなのはIt wasとI wasの区別なので、配布する形容詞リストでそのへんを明示的に区別しちゃったほうが親切だったかな。

  

【ペア3】「伝言ゲーム」

 先頭の生徒は前に行って英文を見て覚えてきます。その英文は現在形で書かれているので、これを過去形にして、次の人に音声で伝えます。これをもう何回か繰り返して、最後の人は黒板に英文を書く、という活動。

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 何問もやる中で順番は交換するので、全員が現在形→過去形にするステップは経験できるのがいいですね。last nightなど時間を表す副詞句の位置を変えたり、主語の名詞句を長くしたりすると少し負荷がかかって面白いですね。

 最初の生徒が英文を読めるか、最後の生徒が英語を書けるか、が時にハードルが高くなってしまうので、団体戦の場合は配慮が必要。誰かに助けを求められるセーフティー・ネットが用意されているといいけど、全部頼ってしまったらゲーム性もなくなるので加減が難しいですね。

 

 ということで、他にもいろいろあったのですけど、とりあえず3つご紹介。今回の狙いは、「よい活動を考えられるか」より「わかりやすい指示で活動させられるか」だったので、活動の質は二の次だったんですけど、みんないろいろ面白いのを考えてきてくれたので、活動の質を上げるためのフィードバックもじっくりしてしまいました。

 教科教育法ではどの学年の授業でも、まず評価の話から始めています。「どういう状態になっていればいいか」と「それをどう測るか」をまず考えた上で、「その力をどうつけるか」を考えて、そのためのアクティビティーを作ろう、という話をしています。学生なりに目的をもって活動を考えているなぁというのは感じました。あとはゲーム性だったり、コミュニケーションができた感じを味わわせる仕組みだったりの「ちょい足し」だけです。(でも、そこがキモなんですけどね)

 私が中学生に教える機会がなくなっちゃって寂しいのですが、学生と一緒に考えた活動などをここで少しでもご紹介できればいいなと思っています。少しでも先生方のヒントになるものをお示しできればいいなと願っています。