PracticeやProductionをドライブする「楽しさ」とは?

 2年生の教科教育法では、模擬授業の準備中。今回は10分〜15分くらいのスピーキングの活動を計画して、実施してもらいます。前期の授業は教師としての英語力アップに重きを置いていたので、実質的に模擬授業的なものは初めて。なかなか悩みながらの準備となっています。

 大学の教科教育法の授業でどんな授業のやり方を教えるか、については私自身もちょっと悩むところがあって、伝統的な(?)やり方を教え込むべきか、先進的な教え方にチャレンジしてもらうか、私自身が理想とする教え方を授けるか。授業時数も模擬授業の機会も限られるので、何をどこまで、は常に悩みながらやっています。

 現時点では、様々な教授法に触れる中で、いわゆるPPP(Presentation-Practice-Production )的なものと、TBLT(Task-based Language Teaching)的なものの両方を扱いたいと考えています。一般的な中学校に教育実習に行った際にはPPP的な考え方が馴染みやすいと思うし、その先に目指す形の1つとしてTBLT的なものも知っておいて欲しいからです。

 PPP vs TBLTみたいな話は個人的にはとても面白くて、それぞれの論者を交えてずっとしていたいくらいなんですが、授業ではどうやってそれらが中高の授業の枠組みに取り入れるかを検討します。そうなると、私としてはPPT(Presentation-Practice-Task)みたいな構成が着地点になるんですが、そういう話はもっと後にしようと思っています。

 さて、今回学生に考えてもらっているスピーキングの活動では、PracticeかProductionに相当する活動を考えてみよう、ということになっています。でもまだまだ悩んでいる学生が多かったので、今日はちょっとだけヒントとして、PracticeやProductionを活性化するポイントをお話ししました。

 Practiceを刺激的にするのは、やはり「ゲーム性」でしょう。勝ち負けがある、課題をクリアする、スピードを競う(「時間内にいくつできるか」パターンと「規定の数をできるだけ早く」パターン)などなど、単純に活動に入りやすくする刺激をどう盛り込むか、という点です。もちろん、それによって、ターゲットとなる英文を数多く口にしなくちゃいけないわけで、ゲーム性だけに走らないように、例として意味フォーカスなパタプラである「マイ・トーナメント」を体験してもらいました。

 一方で、Procductionをドライブするのはもっと知的な「楽しさ」でしょう。英語でやりとりをすることで、相手の何かを「知る喜び」が何より大事ですね。あるいは、たくさんの情報が集まることで見えてくる統計的な積み重ねの面白さ。Productionはやっぱり意味フォーカスに寄るし、タスク的であり、新しい評価規準でいうところの「思考・判断・表現」を引き出すはずです。単元のまとめ的な活動になりそうなものが多くなります。このへんはまさに「英語教育2.0」と呼ぶべき活動なので、当ブログではたくさん紹介していますが、学生はこのブログ知らないしなぁ(笑) 辿り着いてる学生もいるのかなぁ?

 というわけで、ゲーム的な「楽しさ」と知的刺激による「楽しさ」をどうやって活動に盛り込むかがポイントになります。そんな話をしました。こういう活動デザインの話って、現職の先生方にも需要がありますかね今後どこかでそんなお話ができる機会があればいいかなとも思いました。

 とはいえ、はじめての模擬授業に臨む2年生に一番求められるのは、わかりやすい指示で生徒を適切に動かすこと。活動デザインはあくまで+αで、今回の評価は指導スキルの方がメインであることは、伝えてあるんですけどね。どんな授業になるか、来週からのスタートが楽しみです。