議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書

 

 別に新刊なわけではないけど、少し前からこういう内容が気になってたので買ってみた一冊。面白かったです。

 

 

 会議の議事録をグラフィカルに整理したら、問題点も浮き彫りになって、議論も活発になって、問題解決に一歩進むのでは、というご提案をしています。もちろん、視覚化するための基本的なスキルが大事で、絵の苦手な人でも簡単にアイコンを描くためのポイントなども示されています。どうしてもこういう本を描く人はそもそも絵がうまいので、絵の苦手な人は気後れしちゃうんですけど、実際のワークショップで「ふつうの人たち」が描いた作例が載ってるのがいいですね。

 

 この本がすぐに読み終わったのは本の性質上「グラフィック」が多かった(文字が少なかった)というのもありますが、グラフィックがこの本の内容理解にどう影響するかも考えながら(体験しながら)読むことがでいます。

 

 私の課題意識は大きく分けて2つあります。

 

 1つは、つい先日からハマっている「4枚にまとめるシリーズ」の図解とつながります。どうしたら複雑な評価の概念をわかりやすく伝えられるか。色やフォントの選択から紙面構成まで、参考になることがいっぱいでした。

 

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 これって、学校教師の視点でいえば、どうやって板書を書くか、ノートを取らせるか、みたいなところと同じだと思うので、教師の中にはすでにこういうスキルを持っている人がたくさんいると思います。そういう人たちにとっては、自分が自然にやっていることを言語化してカテゴライズしてくれている本です。

 

 新型コロナウイルスの影響でオンラインで授業をする、みたいなことも始まっていますが、スライド等も含めて、今まで以上にどう伝えるかのスキルが教師に求められる時代になっていくと思います。

 

 そういう意識もあって、昨年度のゼミでは、テキスト内で紹介されているリサーチ内容を、即席でグラフィカルに整理して人に説明するっていう練習をやってました。そことも繋がりますね。

 

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 2つめは、これも前にブログで書きましたけど、最近あったfacebookでの議論みたいなものを、どうにかして不毛に終わらせないための方策を考えていたこととつながります。あのときも、私以外の2人の議論を見ていて、一人の方の理解が違うと感じたのでおせっかいをして勝手にポイントを図解したのでした。

 

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 あなたが言っているのはこれで、この人が言ってるのこれで、ここにズレがあるから議論が成立してないんですよ、みたいな指摘をしながら議論を回していく役回りこそ、この本のタイトルであるGraphic Recorderという「お仕事」なんですね。

 

 これも、学校教師は結構得意なはずです。学級会指導なんかは、生徒たちに全部やらせるのがよいという考えもありますが、私はもっと教師が一緒にこういう役回りをしながら、どうしたらスムーズに議論ができるかの成功体験を積ませてあげるべきかなと思います。その中で、生徒がGraphic Recordできるようになればいいわけですし。

 

 それぞれ意見を書いてもらって、こうやって図解で整理して、みたいなことができるWebサービス(プラットフォーム)とかがあれば面白いんですけどね。まぁ、Webフォーラムみたいなものに勝手に画像を貼り付ければいいだけなんですけどね。

 

 この本は本当に入門書なので、個人的にはこの次のステップの本を読んでみたくなりました。(そういう提示があればありがたかったです)