Twitterのタイムラインに、「関心・意欲・態度」の評価が悪かったために実技は出来てるに評定が悪くなったみたいな話がたくさん流れてきて、特に技能教科のわかりにくい評価規準が叩かれていました。英語も同じように思われてるんじゃないかなぁと心配になります。
提出物が出てないからと「内申を下げられた」みたいなコメントも多くて、いろいろ思うところがあり、私も2、3つぶやいていたのでそのへんを整理してみます。
まず大前提として、「関心・意欲・態度」の成績をつけるのに、ワークとかノートとかの提出状況を評価対象にするのは間違いです。だって、評価の観点は「コミュニケーションへの関心・意欲・態度」なんだから。(まぁ、それはそれでどうなんだ、とも思うけど)
新指導要領に伴う評価関係の資料では、「主体性は性格や生活習慣とは違う」みたいなことがはっきり書いてあるので比較的わかりやすいのだけど、それは現行の指導要領でも同じです。提出物が出せない生徒のことは教師としては気になるところですけど、「提出物を期限までにちゃんと出すこと」を指導する機会は英語の授業以外でも(嫌というほど)無数にあるでしょう。
でもちゃんとワークをやった生徒の努力は評価してあげたいという気持ちは私にもあるので、私は「努力点」として「言語・文化に関する知識・理解」の観点で少しだけ加算してあげるようにしてました。これが文科省的によいことだったのかは、今でもよくわかりません。だからホントに少しです。でも、これ頑張ってたからB→Aになった生徒とかは結構いると思う。頑張っててよかった。あくまで加点、ご褒美です。
じゃぁ「コミュニケーションへの関心・意欲・態度」はどうやって評価するんだ、という話になりますが、現行の評価基準だと文科省の資料ではこんなふうに書かれていますね。例えば「話すこと」について。
(言語活動への取組)
・間違うことを恐れず積極的に自分の考えなどを話している。
・聞き手が理解しやすくなるように工夫して話している。
・問答したり意見を述べ合ったりなどしている。
(コミュニケーション の継続)
・つなぎ言葉を用いるなどして話を続けている。
・身振り手振り,知っている語句や表現をうまく利用して自分の考えなどを話している。
基本的には「〜している」という語尾がポイントで、そういう状態が見取れれば、評価が高くなるのだと思います。
昔県内の英語教員が悉皆で受講した研修では、「言語活動へと取り組み」については、「コミュニケーション活動に取り組んでいるか、いないかをマルバツで評価→10回のうち8回マルならA」みたいに主観的な評価を蓄積して評価するんだ、というお話を聞きました。
また、「コミュニケーションの継続」という点では、「何人と会話した」みたいに数をこなすことよりも、1人の人とたどたどしくても会話を頑張って継続してたらそれもマルですよね。多様な視点・場面で評価することが大事ですね。
そして、当然ながら「話すこと」だけがコミュニケーションではないので、例えば書く活動への取り組みとか、課題での語数とかも「関心・意欲・態度」として評価してました。もちろん、聞くとか読むも同じです。
でもそうやって授業中の生徒の頑張りを観察していくと、ぼくの授業ではほとんどの生徒の「関心・意欲・態度」がAになったんですよね。いや、喜ばしいことだけど本当にそれでいいのか不安な時期もありました。でもやがて、ちゃんとできてるならそれでいいんじゃないか、と思うようになりました。絶対評価なんですから。ただ、それって自分の授業の腕が上がったから生徒たちがちゃんと授業に取り組んでくれているだけであって、この評価基準って実質的に「授業者への評価」だったり「授業者への関心・意欲・態度」なんじゃないの?とも思うようになりました。
授業者は生徒が意欲的に学習に取り組むように授業や教材を仕込むのだから、生徒が授業中に意欲的に学習に取り組んでいたら、本来は教師がAをもらうべきですよね。これは「主体性」でも同じです。そして困ったことに本当の意味での主体性は、たぶん授業の外、学校の外で発揮されるから教師には見とれないものなんだよな、と思うのです。
で、そんなよくわからない観点なんだから、(提出物が出た/出てないみたいな)くだらないことでAかBかを分けたくないし、ちゃんとやってるならみんなAでいいよね、という結論に(個人的には)至っていました。
問題は、新しい学習指導要領において「主体的に学習に取り組む態度」の評価は限りなく「思考・判断・表現」と連動するという点です。
今回4観点→3観点になるだけでも「主体性云々」の占めるウエイトが大きくなるから嫌だなと思ってたけど、「主体性」と「思考・判断・表現」が一体的に評価されるとなると、言ってみれば実質2観点だし、バランス的にも片方が倍の重み付けがあることになっちゃうから、それでいいの?とすごく疑問なんです。
現行の学習指導要領はもうラスト半年ですので、これまでの知見を新しい指導要領下での評価体制にも反映したいところですが、まだまだ不勉強な私。後期は指導案の書き方もやろうと思うので学んでおかないと。
ということで。先行して新しい指導要領に基づいた評価の始まっている小学校の事例を勉強するために書籍をいくつか購入しました。週末に少し読んでみることにします。
単元末テスト・パフォーマンステストの実例つき! 小学校外国語活動&外国語の新学習評価ハンドブック (小学校英語サポートBOOKS)
- 作者:瀧沢 広人
- 発売日: 2020/03/02
- メディア: 単行本