教育実習の思い出

 もうすぐ教育実習生が来ます。懐かしいです。自分は母校の私立高校に行ったので、今の自分の環境とはずいぶん違ったなぁと改めて思います。なにせ付属高校だったこともあり15人も実習生がいて、控室がにぎやかでした。

 高校生ならではのクールな視線に耐えながら、必死に盛り上げようとあの手この手。塾で働いていたこともあり、グラマーの授業の方が自分でもしっくりときていました。プリントもイラスト入りで気合い入れてたし。

 最後の授業を終え控室に戻ると、そこはまるですべての公演を終えたミュージカルの楽屋のようでした。たくさんの花束、色紙、そして笑顔と涙。長く苦しかった2週間を思い返し語り合う仲間たちの中で、私だけが手ぶらで控室に戻ってきました。

 それほどさみしくもなかったけど、何ももらわなかったのがさすがに自分だけだったので居心地も悪く、指導教官の所に挨拶に行きました。すると教官は言いました。

 「ウチのクラスの子たち、何も用意してなかったでしょう?ごめんねぇ。ああいうのはたいてい担任が用意しておくべきところなんだけどね。でも、下手にああいうのもらっちゃうと、今まで違ったのに『やっぱり教員なろうかな』なんて勘違いしちゃう人とかいるからさ。ぼくは別に何も言わないでおいたんだよ。我々はそんなにすぐに結果の出るような仕事をしているわけじゃないからさ。本気でこの仕事につこうと思ってるなら、あまりそういうことを期待しない方がいい。勘違いして教師になっちゃうと、自分も生徒も不幸だからさ」

 もちろん2週間の私の実習に対するねぎらいのお言葉や厳しい評価もいただいたけれども、それよりも心に残るお言葉でした。今回私が担当するのは社会人経験がある私より年上の実習生。やる気は人一倍です。私はどんなことが伝えられるかなぁ。