- 作者: 大石英司
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2005/12/01
- メディア: 文庫
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10年前に行方不明になった飛行機が突然戻ってきた。しかも乗客乗員は10年前のまま。この事態を予測していた大学教授によると、3日後また消えてしまうらしい。10年会えなかった人たちと3日だけ会えるとしたら、何をするだろうか?
この「時間の重み」ってやつに弱いんです、私。10年の間に家族はそれぞれの時間を進めている。もちろん進められずに苦しんでいる人もいる。そういう「想い」の交錯やすれ違いがどうも切ない。屈折した代議士の息子や天才テニスプレーヤー、駆け落ちのカップルから殺人事件の犯人まで。それぞれ「どうしてもやらなければならないこと」を抱えながらそれぞれの3日間を過ごす姿を、上手に描いています。そういうものを持っている人は幸せだ、と思いました。
道徳の教材で、淡谷のり子が「あなたは歌と一緒に死んでいくのね」と師匠に言われた、という話を思い出す。私は「何と」一緒に死んでいくんだろう。