ソラニン / 浅野いにお

ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)

ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)

 その本をなんとなく手に取ったのは、背表紙一面が写真で埋められていて、漫画らしくない装丁が気になったから。なんの予備知識もなく、読み始めると、そこにはなんとも青臭くて、どこまでもストレートな青春の成長物語がありました。全2巻。でも読み応えがあります。

 学生時代から就職活動を経て社会に旅立つ時期の若者の心の動きを描いています。会社と、音楽と、自分と、恋人と。主人公たちには考えなくてはならないことがたくさんあって、その中で「自分」をどうやって表現するのかに悩みます。そして、自分の生き方を選ぶことが、時に誰かの人生に影響を与えるようになることに不安や焦りをおぼえる登場人物たち。一部は自分はすでに通ってきた道であるはずなのに、今でも不思議な共感を覚えてしまうのは、まだまだ自分も「青い」ってことなのかなぁ。

 身にまとった「毒」で、自分の大切なもの(ひと)を傷つけてしまわないように、と願います。