模倣密室 / 折原一

模倣密室 黒星警部と七つの密室 (光文社文庫)

模倣密室 黒星警部と七つの密室 (光文社文庫)

 折原一(いち)氏の黒星警部シリーズです。埼玉県警のエリート警部が「左遷」されて、白岡警察署に飛ばされるという非常に「ローカル」なミステリー。しかも事件と言えば、春日部で猿が人を殴った、とかそんなのばかり。普通の人ならなんだよ、それ?ですが、埼玉県民にとってはかなりドキドキする展開。(するか?(^^;)まぁ作者の折原氏が久喜在住ということで、許してあげてください。ぼくはこういう地元モノに弱いんです。(昔は「すすめ!パイレーツ」とか読んだなぁ…)

 ところが密室マニアの黒星警部が絡むと、普通の事件もすべて「密室殺人事件」に早変わり。このあたり、名刑事の周りにはやたら難事件が多い(おまえが元凶なんじゃないのか?)なんていうミステリー全般に対するツッコミを、笑い飛ばしているようにも思えなくもない。(思えない、とも言える) 

 文体が軽くて、重厚なミステリーモノを読み終えた後に読むと、なんだこれ?と思うかも知れませんが、それはそれで息抜きと思って楽しめる一冊です。