音楽は「とる」もの?

 つい先日のニュースより。

「飢えて死にます」――「黒執事」作者、ファンからの「海外動画サイトで見た」メールに苦言
「冗談じゃなく、飢えて死にます」――アニメ化もされている人気漫画「黒執事」作者の枢(とぼそ)やなさんが、違法に配信・コピーされたとみられるアニメ動画や漫画を見たとメールを送ってくるファンに、ブログで苦言を呈している。

 ブログによると、枢さんに「海外動画サイトで全部探して見ました!」「友達からROMで借りて読みましたwww」といった内容のメールや手紙が「かなりひんぱんに」送られてくるという。(全文はこちら ITmedia News 2010年08月17日

 しかし、「違法動画で見てるよ」と作者本人の送ってくるセンスもすごいなぁ。ネタか?とも思ったけど、中学生とかの感覚を観てると、あり得る話だなぁと思えてしまいます。彼らの普段の会話を聞いていると、「音楽を手に入れる手段」を表す動詞が、「買う」とか「借りる」とかじゃなくて「とる」だったりするから。

 一時期はケータイの違法ダウンロードサイトが溢れてて、「とる」のが簡単だった影響もある。それはさすがに少し収まってきた感じもするけど、YouTubeの「おかげで」で、今は気軽に動画を「とる」時代なのかも。「とる」と言っても「取る」「摂る」「捕る」「盗る」といろいろありますけど。

 そんな言葉を耳にするたびにぼくは「ちゃんと買わないとさ、好きな曲聞けなくなっちゃうよ。せめてレンタルしなよ」と諭してはきたけど、あんまり響いてる感じがしなかった。だからこそ、こうやって作者が訴えることは、リアルです。

 さらに気になるのは「お父さんがそうやってるし」「親に教えてもらった」という子が意外に多いこと。確かにそれでは「お金を払わずに楽しめるのに、わざわざお金を出すなんて馬鹿らしい」としか思えなくなっちゃうよね。「それは、お父さんが悪いことしてるんだよ」と、どう伝えるか、いつも苦労しています。親の教育と、未来の親の教育と。

 漫画家の枢さん曰く、

面白かった、続きが見たい、と思って下さったら、DVD、レンタル、公式グッズ、CD、なんでもかまいません。たった1個だけでもいいのです。是非気に入った作品の関連商品を買ってやってください。それが、作品の未来、ひいてはアニメ業界や漫画業界の未来に繋がります

 仮にきっかけがYouTubeだったとしても、気に入ったら自分のおこづかいで何かを買ってみる。いつか、自分が「芸術」や「文化」をささやかながら育てているんだと実感できるはず。

 今だから言いますけど、実はMr.ChildrenBump of Chickenラーメンズも、ぼくが育てたんです。(w