論理よりデザインが相手を説得する時代

 ずいぶん前に読んだものもありますが、読後メモをこちらでシェアしておきます。

 まずは「整理HACKS!」など個人的にはかなり影響を受けている小山龍介氏の「イノベーション思考の本棚」。Kindle版で100円だったので、Kindle購入当時に読みました。

イノベーション思考の本棚

イノベーション思考の本棚

 書評集ながら、ひとつの方向性を持って本を選び、順序立てて綴られている面白い一冊です。サービスや組織マネジメントを考える上で、アーキテクチャの「デザイン」が重要であることを説きます。ビジネスとデザイン、サイエンスとアートを対比しながら、現代のビジネス世界で起こりうる課題をどう乗り越えていくかを語ります。この本のアーキテクチャ自体が、まさにそんな思想に裏打ちされたつくり(デザイン)になっているように思います。

 これとほぼ同時期に読んでいたのは、田端信太郎氏の「MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体」です。友人が務める宣伝会議の新刊(当時)だったので気になってこちらもKindleで読みました。

MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体

MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体

 SNSなどのパーソナルメディアやミドルメディアが存在感を増す中で、マスメディアの役割が問われる時代となりましたが、いずれにしても書き手が読み手に情報を伝達するために求められる原理原則は変わらないように思います。本書では筆者が実際に関わったプロジェクトでの事例や、架空のケーススタディーを通して、メディアの書き手が意識するべきルールとマナーを訴えています。ノンリニアにコンテンツを提供する仕組みや、書き手とコンテンツとの距離感のお話などが印象に残りました。メディアというより、ビジネスやサービスそのもののデザインを論じているようで、1冊めの本と重なる点が多かったように思います。同時期に読んでいたから、勝手に関連付けてしまってるのかも知れませんが。

 物理的な意味でのデザインもそうですが、サービスやコミュニケーションの形がどうデザインされているかも、受け手にとっては大きなもので、むしろこの時代に誰かを説得しているのは論理よりこういったデザインなのかもしれないな、と感じました。

 あ、まだ手にしてないけど、前述の友人が関わったという宣伝会議の新刊にも、そんなキーワードが含まれていました。気になります。今度読んでみようかな。

希望をつくる仕事 ソーシャルデザイン

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