「暗誦」と「再生」のあいだ

 本日、埼葛授業研が終わりました。

 11月の怒涛の研究授業2連戦もこれで一段落ですので、ちょっとホッとしたというか、帰宅したらすっかり気が抜けちゃいました。ふぅ。

 授業の方は生徒たちがすごくがんばってくれたので、なんとか乗り切ることができました。いつもどおり、グルグル&カキトリンと教科書再生をお見せしましたが、本日の参観者の方々からは「生徒の意欲づけ」に関するコメントや質問を多くいただきました。

 特にグルグル&カキトリンは、半分ずつ別の活動をしますし、グルグル指導中の私は残り半分のカキトリン組の様子をじっくりと見守る(見張る)ことはできませんから、教師もそばにいない&教室も騒がしいという環境の中で生徒が集中してカキトリンに取り組んでいる姿が印象的だったようです。個人的にはこれには「秘策」はないかと思っています。時間をかけて作ってきた人間関係に支えられている、としか言いようがない気もします。あえて言えば、それくらいカキトリンは集中して取り組める魅力的な活動だ、とは言えるかも知れませんが。

 その他にもお伝えしたかったことはたくさんあるのですが、一気に書けないので何回かにわけてひとつずつ綴ってみます。まずは教科書再生時のワークシートについて。

 実は以前使用していたワークシートでは、場面絵のまわりにキーワードをいくつか載せてただけでした。こんなイメージ。

 この形式は生徒の自由度が高く、教科書本文の英語に限らない多様な英語を引き出していました。ただし、同時に、文法も発音もめちゃくちゃな英語もたくさん産出させていたと思います。教師が一対一でチェックできる環境でないとしたら(授業ではセルフチェックorペアチェックが前提になっています)この自由度の高さはちょっと危険なんじゃないかと思うようになりました。なので、現在のワークシートは穴埋めに近いイメージで、元の文章からキーワードが抜けてる感じになっています。

 これだとペアでチェックもしやすくて便利なんですが、今度は「再生」というより「暗誦」といった雰囲気になってしまうのが苦しいところ。まぁこのへんは結局ある程度トレードオフなので、こちらが何をねらいにするか、によりますね。

 さて、今回の工夫は絵の両サイドにある2つのステップの違いです。STEP 5は「キーワードを思い出す!」ということで、途中に抜けている本文中のキーワードそのものを補いながら英文を完成させていくパターン。右側のSTEP 6は「キーワードで思い出す!」ということで、そのキーワードを使って文を自力で組み立てるパターン。そう、これは以前にこのブログでも書いた「容れ物と中身」の話に関わる問題で、具体的にはSTEP 5からSTEP 6への橋渡しをどうやっていくか。これが個人的な課題です。

 今のところ解決策としては、生徒から英語を引き出しながらオーラルイントロ的に(インタラクション気味に)自然とスイッチングしていくことくらいしか思いつきません。ちなみに今日の授業ではそのスイッチングがいまいちでしたので、最終的に自己選択で2つのSTEPから選ぶ形にしました。でも最終的には全員にSTEP 6の「キーワードで思い出す!」をクリアさせたいんだよなぁ。

 というわけで悩みながらの授業公開(後悔?)でした。参観してくださった方々からの意見も引き続きお待ちしております。まぁこうやって授業者自身が一番考える機会をいただき、学ばせていただけるのだからありがたい限りです。その他の振り返りはまた後日。