カキトリン3(ポイント編)

 久しぶりに、授業ネタ。

 今年から教職に就いた昔の教え子と話をしていたら、自分の中で整理できたことがあったので、忘れないうちに書いておこうと思って。

 さて、「書く活動をさせたい」という人にオススメなのが「カキトリン」という活動です。表面に印刷された教科書の本文を、裏面に(声に出しながら)書き写す、というシンプルなものですが、生徒の英文を「見る(読む)力」や「書く力」を伸ばせる活動だと思います。ただ、突然この活動をやらせても、たぶんうまくいかない。

 この活動に入るために大切なことが少なくとも3つあると思います。

 1つは、事前にしっかりと音読練習がなされていること。

 声に出しながら書くことも求めるので、そもそも読めることが前提なんだけど、何度も何度も音読練習をして、ある程度本文の内容やフレーズが頭に入ってると、当然ながらスピードが増すのです。そうなると、「できた!」と実感しやすくなる。だから、手を変え品を変え、読む練習をやらせておくことが大切です。

 2つめは、フレーズ単位(チャンク単位)で読む、覚える、意味を理解する活動をしておくこと。

 そういう意味では、1つめの音読と絡めて「教科書音読シート」を併用するのも1つの手でしょう。(実際、私は教科書音読シートの裏面にカキトリンをやらせてました。あとは、一般的な"Read&Look Up"も全体でやるといいのですが、さらにペアで「対面リピート」をやっておくと効果的です。このステップを踏んでおかないと、ただ一単語ずつ書き写す生徒が続出してしまう恐れがあります。

 3つめは、単語テストを同時にやっておくことです。別にテストでなくてもいいんですけど、本文に登場する単語を練習する仕掛けがあればいいと思います。当たり前ですが、単語の綴りに困らなければ、カキトリンを書くのも速いはず。単語テストがただのテストでなく、別の活動に活きるスキルや知識を身につけていると実感させて上げる意味でも、平行しておこなっていく意味があると思います。私は「ボキャブラ・マラソン」という形で負担にならない範囲で継続していました。

 カキトリンをやる場合は、まず最初は何も言わずにやらせておいてタイムを計っておくといいでしょう。あとで「速くなった自分」を体感させてあげられるからです。なかなかタイムが上がらない生徒たちに「秘訣を教えて上げよう!」と「伝授」してあげるのもいいですが、「速い生徒」に前で実演させて、みんなで「秘訣を考える」のも面白いと思います。「速い生徒」は間違いなく、プリントをひっくり返す回数が少ないはずです。それは、「本文がある程度頭に入っているから」「単語の綴りを覚えているから」に他なりません。それに気づいた後は、音読練習や「対面リピート」「単語テスト」に取り組む生徒の姿勢も変わってくると思います。(というか、変わるように仕掛けたいですね)

 教え子は「書き終わった英文も何かに使えないですかね」と言っていました。うん、それは面白そうだ。そういう視点が大切ですよね。基本的に生徒に書かせたものは、何度も再利用するのが好きなんです。教材に捨てるとこ無し。その辺は、また今度じっくり考えてみることにしよう。