先日の授業研後の研究協議会で、気になったコメントがあります。
教師は生徒に背中を見せるな。
ほほう。
発言した参観者が若い頃に先輩から教わった「教師としての基本的な心構えの1つ」だそうです。「生徒にスキを見せるな」なんて漠然と語るより具体的な行動でポイントを提示していて、若い教師に送るアドバイスとしてはアリなんじゃないか、と思います。
さてこれは、授業でお見せした「グルグル」について話し合いをしている時に出た言葉なんですが、その流れで「教師が輪の内側を廻ると、教室全体を見渡せない。授業コントロールのために教師は輪の外側を巡回したらどうか?」というご提案もいただきました。(ちなみに外側を廻っても、カキトリンやってる子たちには背を向けてしまいますが、少なくともグルグルやってる子たちは見える側に立てるので、という意味だと思います)
なるほど。
ぼくは単純に輪の内側を歩いたほうが時間短縮になるから、と考えてそうしていました。また生徒も内側を向いてたほうが、生徒もお互いの顔が見えるので安心感があったり、自然に教え合いに発展しやすかったり、他の友だちが頑張ってる姿や、合格して喜んでる姿などが目に入るから、意欲づけにもなるんじゃないかとも(あとづけですが)考られます。
ただ、それでは「教師が生徒に背中を見せ」てしまうことになり、好ましくない状態なのかも知れません。だから「教師は外側を廻り、生徒は内側を向いて練習。教師が来たらその子だけ外を向かせてチェック」なんて方法もあるのでは、という具体的なご提案もいただきました。
その時は、それだと教師が来た時にいちいち振り向かせるのが時間のロスになるかなぁ、とお答えしました。(まぁ、振り向かなければ素通りしちゃえばいいんだけどね)
この議論はとても面白いなぁ、と思います。
というのも、正直に言うと、「生徒に背中を見せる」ことにそれほど抵抗がない自分がいるからです。落ち着いて活動してくれる生徒に恵まれて、すっかり平和ボケしてるのかもしれません。一方で、自分なりに生徒との関わりがそれなりに作れてるな、という自負もあります。
確かに生徒の状況次第では、「グルグル」実施にはそういった細やかな配慮も必要だと思います。と同時に、というかもっと根本的な問題として、(仮にそれが難しい課題だとしても)「生徒に教師の背中を見せられるクラスをつくる」ことの方をこそ、究極の目標とすべきなんじゃないか、とも思うのです。
教材やタスクの面白さ次第で、生徒が夢中になって活動してくれることもあります。「グルグル」にもそういう要素があります。でも、それほど刺激的な活動でなかったとしても、そういう信頼関係が成立していることの方が「生徒を動かす」と思うんです。そういう意味では、「グルグル」ができるようになることを「教室の成熟」や「教師の成長」のバロメーターにしていくのもいいのかなぁと思いました。
とはいえ、「グルグル」を支える信頼関係は「グルグル」を通しても醸成されていくと思うので、成熟や成長をただ待っているだけではいつまでも取り掛かれないでしょう。どっかでチャレンジするしかない。
そうなると、取り組んでる学校はそれなりにある割にはどこもあまり機能しているとは言いがたい「日本人同士のティーム・ティーチング」なんて環境は、こういった活動にチャレンジしてみるためにはよい条件と言えるかも知れません。そういう学校でまず、グルグルが広がって行ったら面白いですね。
なんてことを考えながらふと、そういえば家元はこの「内側?外側?」について何かおっしゃってたかなぁとふと不安になり、久しぶりに「心・技・体」を読み返していました。
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ちょっと、ホッ。