「じゃ、いつ使うの?」を考える

 昨日は今年度最初のサークル例会でした。

 ご案内がギリギリになってしまいましたので、少人数での例会となりましたが、その分たくさんお話をして、いろいろ考えることができたと思います。

 今月のテーマは文法指導。特に導入から練習、解説までの流れに悩んでいる若手の先生方のために、何のためにその活動をやるのか、という意味を一緒に考えてみました。最終的に「その新出文型を用いて、自分の言いたいことを言えるようになって欲しい」ということが目標なのだとすると、どんなステップでどんな練習をさせる必要があるのかを整理しました。

 「内容」ベースの導入から、既習表現との「形式」のギャップに気づかせ、必要な解説をしてから練習、なんていうのがPPP的な流れでは一般的なんでしょうけど、意外と「内容」ベースでやっている段階で形式のことに話を振ってしまったり、全体の流れを考えていないと指導がブレてしまいがちです。また、その段階で何を「解説」で伝えるかも精選が必要ですね。語形変化などは音だったり文字だったりいろいろありますから、学習者が混乱しないようにしたいですよね。

 さて、休憩時間にそれぞれの部活指導の話に花が咲いてしまって、作業をしようと思っていた後半の時間があまりなくなってしまったのですが、この部活指導のプロセスが文法指導と重なるところがあって、そのまま「喩え話」に。

 ボレーの技術を教えて、何度も反復練習はさせるけど、それだけで試合でボレーを使えるようになる生徒ばかりではありません。試合形式の練習の中で「あ、今ここでそのボレーを使うんだ!」という指導を、繰り返し繰り返しやるはずです。もしくは、試合の一場面を切り取って、「こういうプレーのあとは、ボレーのチャンスだ」という「ディスコースのパターン」を身体に覚え込ませているはずです。部活では絶対やってるんだけど、文法指導ではそういう練習が足りない(というかほとんどやってない)よね、という話になりました。

 不定詞を教えたからって、すぐに不定詞が使えるようになるわけじゃないけど、せっかく導入したその日のうちに、「不定詞ってこんな場面で使えるんだ」というイメージは、explicitであれimplicitであれ提示しておく必要があると思います。そして、そのレッスンのまとめの段階でもいいし、後々のスピーキングやライティングの指導場面でもいいので、amazon風に言えば「この文法を使った後に使っているのは?」とか「この文法をチェックした人はこんな文法もチェックしています」的な、他の文法や語彙表現との組み合わせを学んでおくといいと思うんですよね。(その点、エイゴラボの作文問題は、新出文型だけでなく、関連する既習表現を書かせる問題を設定してたりします)

 例えば"I'm going to do my homework tonight."という文の前後には、どんな文が並ぶ可能性があるだろう、それはどんな場面なんだろう、と考えてみるような作業ですね。キーセンテンスを書かせる作文指導はよく見かけますけど、キーセンテンスを与えておいて、その前後を考えさせるような作文練習も必要だろうと思います。

 サークル後は、食事に行ってまだまだお話に花が咲きました。部活に、教科に、校務分掌に忙しい若手の先生方のご苦労も聞きながら、でも意欲やアイディアに溢れた勢いも感じながら、私も刺激を受ける例会になりました。

 サークルには毎月、その日のテーマに関連した書籍をうちの本棚から持っていくようにしています。ご希望の方にはお貸しすることもできますので、遠慮なくお声掛けくださいね。ちなみに昨日持っていったのは、こんな感じ。

英語教師のための文法指導デザイン

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「フォーカス・オン・フォーム」を取り入れた新しい英語教育

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英語で教える英文法 ??場面で導入、活動で理解

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  • 作者: 卯城祐司,江原一浩,久保野雅史,久保野りえ,末岡敏明,平原麻子,深澤真,松下信之,山岡大基
  • 出版社/メーカー: 研究社
  • 発売日: 2014/06/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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大修館 英語授業ハンドブック 中学校編 DVD付

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英語教育 2017年 07 月号 [雑誌]

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今月は「ワーク」の話を書かせてもらってます。そして表紙がMINIだ!