文法は大事だけど、私が言っている「文法」とあなたが言っている「文法」は果たして同じだろうか

 どうも私は昔から間が悪くて、何か意見を大きな声で言うと、自分の意図とは違って捉えられている方々に「イイね」されてしまうことが多いなと思います。

 

 大学入試をめぐる論争でも「4技能民間検定」の共通テストへの利用に反対してたら、「守旧派!」「現場を知らない!」「抵抗勢力!」「若造が!」と見ず知らずの人にfacebookで罵られたのが記憶に新しいのですが、私は別に話すことや書くことを指導することに反対しているわけでもなくて、むしろ私の中学校での実践を見聞きしたことがある方やこのブログを読んでくださっている方からすれば、「あいつもっと文法教えたほうがいいんじゃないの?」と思われるくらいにはコミュニケーション重視で授業をしてきたほうなんじゃないかと思います。

 

 もちろん、「賛同します」と言ってくださる方も一定数はいて、とても励まされるのですが、その方の前後のTweetをよく見てみると、「そもそもコミュニケーションなんて不要」みたいな極端な(そして私とは異なる立場の)意見をお持ちの方に結構「イイね」をしていただいてたりして、なんだか不思議な気持ちになるんです。

 

 今回も、某記事を読んでて、気になったのTweetをしました。

  

 

 で、のちにこの記事は小学校の英語の教科書についてのコメントなんじゃないのか、というご指摘をいただき、ああそうだなぁ、とちょっと冷静になりました。(まぁそれにしても誤解を招くような言い方はよくないよね、せめて「文法用語は教えません」くらいにしてほしいよな、とか思ってますけど)

 

 このつぶやきに対しても、(多くは学校英語教育の世界の外の方から)「ネイティブはこう学んでいるのに!」みたいな反対意見が届いたり、「文法こそすべて」みたいな方からイイねされてたりします。

 

 もちろん、私と同じような意味で問題を捉えている方もそれなりにいらっしゃることはわかっています。そしてそれは、以前より多くなった(そういう方とよりつながりを持てるようになった)ようにも感じていて、嬉しく思います。

 

 私は文法というか、言葉の仕組みをちゃんと身につけさせるのが学校英語のゴールだと考えています。だって、じゃないとただフレーズを暗記するだけで乗り切っていかなくちゃならなくなるし、出川さんみたいな英語ばっかりじゃ、相手に依存し過ぎで申し訳ないじゃないですか。(努力の結果としての出川さんは否定しません。目標としての出川さんを否定しています)

 

 私は中学校レベルで身につけてほしい基本的な文法的なものは「意味順」と「名詞句」だと思っています。過去形も、不定詞も、関係代名詞も、それぞれの文法事項がどういう機能を持っていて、他の文法事項とどう関連性があるか、を生徒にもしっかり伝えていかないといけないし、それが実感できるような指導の方法をいろいろ実践してきたつもりです。そしてそれは説明と問題演習とかじゃなくて、タスクのような実際の使用場面を繰り返す中で身につけていって欲しい、と思っているので、理屈と使用のハイブリッドを目指してやってきました。

 

 だから、小学校にしても中学校にしても教科書というものはもっと文法の学習に(少なくとも作り手は)意識的であって欲しいし、そういう系統性が感じられるものが増えていけばいいなと願っています。一つ一つの文法事項ではなく、もっと俯瞰的に文法を捉えるような目で教科書を作って欲しいのです。

 

 それなのに、(小学校の教科書だから / 週刊誌の取材で切り取られたから / 小学校の先生方を不安にさせないようにという配慮があったとしても)あの編集長さんが「基本的に文法は教えないことになっています」なんて言うものだから、コメントを書いてみたわけです。だって、一番シェアを取ったらしい小学校教科書の編集長さんの言葉なんですから。

 

 そういう私の立ち位置を、140字で説明するのはまぁムリですから、上記のような事が起こるのは仕方がないとも言えます。また世の中が「コミュニケーション!コミュニケーション!」と言っていると、「本当にそれだけでいいの?」と逆張りしたくなる私の天の邪鬼な性格も災いしているかも知れません。

 

 毎回「コミュニケーションのために文法指導は大切です。あ、でも個別の文法ばかりやってるのもダメですけど」みたいなことわりをつけながらつぶやくわけにもいかないので、今後も同じようなやり取りが何度もあるんだろうけど、くじけずに言いたいことは言い続けていこうと思います。

 

 あ、あとどうでもいいんですけど、私のつぶやきに「はぁ?」とか「あほか」とかだけコメントするのやめてください。私がディスられてるのか、引用元がディスられてるのかわからないんで…

 

 上の説明で意味順にご興味を持たれた方は、こちらの本をお読みになると面白いと思います。

 

〈意味順〉英作文のすすめ (岩波ジュニア新書)

〈意味順〉英作文のすすめ (岩波ジュニア新書)

  • 作者:田地野 彰
  • 発売日: 2011/03/19
  • メディア: 新書
 
意味順英語学習法

意味順英語学習法

  • 作者:田地野 彰
  • 発売日: 2011/07/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)