99%の誘拐 / 岡嶋二人

99%の誘拐 (講談社文庫)

99%の誘拐 (講談社文庫)

 1年生はみんな静かに読書をしていて、一緒に読んでいる私もつい夢中になってしまいます。結構読むペースが早くなってきました。先日「神はサイコロを振らない」を読み終えたばかりなのに、もう1冊読み終わってしまいました。我ながらびっくり。

 さて、本屋で何気なく手に取ったこの本は、2つの誘拐事件が絡み合うミステリー。20年前に誘拐事件に遭った子供が受け取ったのは、父親が当時を振り返って残した手記。この手記ひとつで、十分ミステリー小説1つ分のおもしろさがあるというのに、この事件が元になって、もう一つのミステリーが生まれます。これはおもしろい。特に後半はとても痛快。読者は犯人が分かった上で、(犯人の立場になって)成功への期待と、追われる事への不安を一緒に体験できるからでしょうね。

 岡嶋二人は井上泉と徳山諄一によるコンビのペンネーム。名前の由来は「おかしな二人」だそうです。今は解散してしまった二人ですが、どういう役割分担でこの共作が完成して行ったのかという過程も、ミステリー同様に気になるところでもあります。