グローバル化、ユニバーサル化、一般化

 埼葛スピーチコンテストでした。事務局としてお仕事させていただきましたが、たくさんの方々が助けてくださって、とりあえず無事に会を終えることが出来ました。関係のみなさま、本当にありがとうございました。

 さて、今年の大会の特徴は、やはり参加規定の変更による「参加者のグローバル化」でしょうか。裾野が広がったという意味では「ユニバーサル化」とも言えるかもしれません。英語圏でなければ外国滞在の経験などがあっても参加できるので、いろいろなバックグラウンドを抱える参加者が増えました。出身地もパキスタンベトナムなど様々。

 発音はやや癖がある子もいるので、(少なくとも埼葛レベルまで来ると他の子もかなり上手なので)それほどのアドバンテージはないと思います。それよりも彼らの最大の武器は、日本にいるだけでは体験できない国際感覚、異文化体験をスピーチの題材にできること。国際平和や環境問題、人種差別などは一般の日本人が語っても薄っぺらい内容になりがちだけど、彼らが語るとまさにリアル。一気に等身大の話になるんです。「外から見た日本」は、一般の中学生がちょっと海外にステイしただけでは書けない内容なので、やはり重みがあります。当然、テーマも重くなりがち。それが難点と言えば難点かも。

 ただ、そうやって振り返ってみると、地区の大会も含めて今年はシリアスな話題が多すぎたような気がします。「誰かの死」や「差別」「障害」など、参加者のカミングアウト大会になってることに少し抵抗があります。もちろん「英語のスピーチ」としての必然性やクオリティがないと入賞はできないでしょうけど、やや「人権作文コンテスト」の趣きが。スピーチの主たる目的が「伝える」だとすれば、強いメッセージ性は感じますけど、ちょっと傾向に偏りがある気がします。

 やっぱりポイントは「一般化」なのでしょう。「特異な経験」から学んだことが、「誰にでも」共有できる教訓や感情に昇華していかないと、スピーチとして受け手に伝わらないような気がします。受け手は本来その会場にいる同年代の中学生であるべきだと思います。彼らが共感できて、「聞いてよかった」と思ってくれるようなスピーチを、生徒と一緒に作っていきたいです。

 海外にも行ったことがない、部活や特技で特にめざましい業績を上げたわけでもない、どこにでもいる普通の中学生にだって、日常の中の小さな「気づき」から、そんな話が書けると思うのです。