教育実習生から学ぶ

 教育実習生の授業を参観する機会がありました。

 お昼を挟んで4コマ連続で見たので、ずっと立ちっぱなしで腰にキました。おかしいなぁ、ずっと立ってる仕事だったのになぁ。カラダがなまってますかね。

 さて、せっかく4コマも授業を見るなら、自分なりに視点を決めて見ようと思い、教師の発する「発問」「指示」「説明」をじっくり観察することにしました。でも終わった後ノートを見返してみると、全然関係ないことをたくさん書き殴っている。そして、それらのメモを見ていくと、ぼく自身の「実際の」視点というか、こだわりが見えてきて面白かったです。以下、自分のためにメモから思いついたことを書き綴っておきます。

 まず、「発問」「指示」「説明」に関して気になったのは、やはり指示が「明確」で「平等」かどうか、ということ。生徒がすべきことをシンプルに説明するのは意外に難しい。やったことのない人にトランプのあるゲームのやり方を口頭で説明するのは大変ですもんね。でも授業の時間は限られてるんだから、あまり説明が大変な活動だったら別のもっとシンプルな活動にした方がいいだろうし、どうしてもそれをやりたいなら(今日はいなかったけど)ALT等と「やってみせる」のが早いし、わかりやすいですよね。

 もう一つ指示に関して。活動を始めちゃってから、「あ、ごめん言い忘れた!」と言っても誰も聞いていない。ああ、これはぼくもよくやってしまってました。大変でも、一度全員の活動を止めて(なんなら座らせて)補足しないとダメですね。この辺が「平等」という部分とも関わってくる部分。

 生徒は、「手を挙げたのに当ててもらえなかった」とか「あいつは2回言ってもOKだったのに、オレの時は1回しかやらせてもらえなかった」とか、そういうことを結構気にする。「うるせぇ、オレがルールだ!」と言い切れる人(そして生徒もそれを受け容れそうな人)はそれでもいいんだけど(もちろん時にはそういうことも大切)、でもそうでない人は、ある程度配慮してあげることで生徒が納得して取り組むようになると思います。どうしても困ってしまったら、思い切ってマシンなどを使ってランダマイズしたりすると、マシンが逆恨みを一手に引き受けてくれて(笑)いいですね。あとはそれこそ平等に全員当てちゃう。どっちかでしょうね。

デジビンゴZ

デジビンゴZ

 さて、その他で気になったこともちらほらと。

 今回は多くが3年生の授業で、ちょうど「受動態の導入」の場面でした。「受動態の導入」は「現在完了の導入」と並んで最近の拙ブログ検索キーワードランキングの中でも1位2位を走る、人気のトピックです。みんな、苦労してるんですね。

 受動態を生徒にたくさん使わせたい、と思っていろいろ活動を考えます。でも、欲張り過ぎちゃって、今日の段階で何ができるようにさせたいのかが、曖昧になっちゃってる。○○is made by〜が自由に使えるようになればいいのか、madeのところをいろんな動詞に置き換えるところまでやらせたいのか、isがareになったりwasになったりするところまで求めるのか、by以外の前置詞と組み合わせる言い方を紹介したいのか、そして疑問文まで使わせたいのか。その順番も含めて、指導項目が多いところなので、導入→パタンプラクティスの流れをていねいに、そしてそれぞれたくさんの英語に触れるようにしないと、なかなか定着していかないところですね。改めてそう思いました。

 個人的には「活動の仕掛け」や「ことばとしての働き」みたいな部分も気になりましたが、その辺はまた今度。

 客観的に授業を見ていると、板書を書き写す時間が一番もったいない感じがしてきます。あの時間をもっと有効に使えないかと考えていたら。半分の人たちに板書を書き写させてる間に、もう片方の人たちをグルグルチェックしておくなんてのもいいかな、なんて思いました。5分ずつ交代するとかで。グルグルも人数が半分になった方が、時間は短くても集中して濃い活動になるでしょうし。

 それにしても、自分が実習生だったときを思うと、みんなホントよくがんばっています。4月から一緒に働きたい、と思わせる輝きがそれぞれの実習生にありました。あとは、自分で自分の「よさ」に気づいて、それを磨いていけるかどうかですね。若い世代の教員が増えてくるこれからが、楽しみに思えるようになりました。

 今日のひと言。

 「先生はぼくくらいの頃、どんな風に英語を勉強してたんですか?」

 この言葉は、英語教師に対する最高級の褒め言葉ですね。「あなたのようになりたい」と生徒に言わせているんだから。そう聞かれるような教師にならなくては、とねじを巻き直した一日でした。

#本日のBGM:Have you ever been mellow