2011年10月のご報告

 少し間が開いてしまいましたが、先週の土曜日に、SETC&ASTEK10月の例会がありました。埼玉大学の及川先生を招いてのビデオ授業研究でした。しかも「達人に学ぶ」というコンセプトで、埼玉県が誇るある「達人」の授業をみんなで「参観」しました。

 授業は2年生を対象にしたThere is/areの導入から練習→教科書本文「マザー・テレサ」の導入という流れでした。この先生のキャラクターを活かした「小技」につい目が行ってしまいますが、やっぱり1時間の、あるいは数時間の授業デザインという「大技」もすごいなぁと改めて思わせる授業でした。

 学んだ点はたくさんありますが、大きく3つだけご紹介します。

 1つめは文法の導入。There is/areの導入では、構文の持っている意味合いをしっかりと意識した流れになっていました。また単元の特性から、パワーポイントなどで部屋の画像をほいほいと見せながら導入や練習をさせてしまいがちですが、あえて黒板と絵とOHPを効果的に活用しているのが印象的でした。さらにいえば、「教材作成委員会」という生徒も「教具」としてうまく活用しています。

 2つめは「すごく明示的な暗示的提示」とでもいいましょうか。よく生徒に英文を聞かせて気づかせるという導入をしがちですが、教室には、塾ですでに習っていて気づく必要のない生徒も、何度聞かせても気づけない生徒もいます。やはり学校の教室では全員に気づかせることが大切です。そこで半ば無理矢理キーになる英文を生徒が「もういいよ、わかったよ」と言いたくなるほどに聞かせる力技でした。文法項目によりますが、遠まわしに「気づき」を促すよりも、意味があるなぁと感じました。

 3つめは、次の活動との「のりしろ」です。活動と活動の間に切れ目がなくスムーズです。1つの活動が終わって、スクリーンを上げるとテレビに次の映像が映っている、など無駄がありません。常に指導案の次の活動を意識して、さりげなく準備しています。「じゃあ、聞いてみよう」と言ってからCDを操作していたら、生徒の気持ちも下がってしまいます。そして、それぞれの活動がしっかりとつながっている。ターゲットとして学んだThere is/areが、その後のマザー・テレサの導入でもちゃんと関わってくる。こういう「のりしろのある授業デザイン」が大切だなぁと感じました。

 以上、3点を取り出してご紹介しましたが、ところどころで及川先生がビデオを止めて解説してくださったり、論点を整理して提示してくださったので、参加者のみなさんからもたくさんの意見が出て、本当に学びのある会になりました。及川先生効果で、今月はいつもより多めの参加で、会場となったサークルボックスいっぱいの参会者がありました。本当に嬉しいです。

 来月は11月26日(土)の午後を予定しています。今のところ、

(1)高校入試に向けて、中3に効果的なライティング指導ってどんなの?
(2)パソコンを使ってリスニングテストを録音・編集する方法教えて!

という話題が候補になっています。来月は(1)と(2)のどっちを扱って欲しいか、またはこんな話題も扱って欲しい、この人の授業が見たいなどリクエストがありましたら、ご一報ください。