モレスキン「伝説のノート」活用術

 amazonで予約していた本が、昨日届きました。

モレスキン 「伝説のノート」活用術?記録・発想・個性を刺激する75の使い方

モレスキン 「伝説のノート」活用術?記録・発想・個性を刺激する75の使い方

 「伝説のノート」と呼ばれるモレスキン・ノートの使い方を紹介するガイドブックです。とはいえモレスキンだって、中は無地だったり罫線があるだけのただのノート。モレスキンの使い方=いわゆる「ノート術」の紹介、がメインの本ではあるんだけど、そういうノウハウがどうのこうのより、文面から「モレスキンと在る生活」みたいなものの素敵さがにじみ出てて、個人的にはすっごく楽しい本でした。

 ちなみに、ぼくはこれまでに3冊のモレスキンを購入しましたが、あまりうまく使いこなせてませんでした。

 最初に買ったスクエアード・ノートブック(方眼・ラージ)は、高価なために「書き込むのももったいない」という最悪のパターンで、ずっと「飾り」と化してました。マインドマップ用にと次に買ったソフトカバー(無地・XL)は、何枚かマインドマップを書いたものの、いつもたくさんのカラーペンと一緒に持ち歩く習慣が身につかず、いつしか家でお留守番ばかり。ちなみにソフトカバーというのもカバンの中で収まりが悪く、今ひとつでした。それでも懲りずに買った3冊目のプレーン・ノートブック(無地・ポケット)は、まさにユビキタス・キャプチャーとして使い始めることができて、いつもカバンに入れておく一冊になりました。

MOLESKINE モレスキン プレーンノートブック・無地・ポケット ([文具])

MOLESKINE モレスキン プレーンノートブック・無地・ポケット ([文具])

 たぶん、これが一番良かったのは「無地」であることと、ポケット版の小さめのサイズだと思います。それまで「ノートは方眼」を貫いてきたけど、無地のノートを使い始めると、その自由さに本当に感激します。字がナナメになっても「味」があるといえるし、画面構成も自由自在。何よりイラストや図を気持ちよく書けるのが魅力です。今さらですが、中学・高校時代も無地のノートを使っていれば、もっと勉強してて、もっと成果が上がっていたのでは、と妄想してしまうくらい、使い勝手がいいです。もしかしたら、生徒の中にもそういうタイプの子もいるんじゃないかな、なんて思ってしまいました。

 サイズについては、単純に携帯性がいいというより、あの「小ささ」と「ハードカバー」の両立がすごく素敵な質感を出しているんです。すっしり詰まった感じ。iPhoneより一回り大きいんですけど、隣に並べると絵になる。(見比べて気づいたけど、ぼくはああいう「丸ゴシック」みたいなデザインが基本的に好きみたいですね。好きなフォント、愛車の形もどこか「角張ってるけど角は取れてます」って感じです。)そういう「視覚」とか「触覚」に訴えるプロダクツに弱いんだなぁ。というかぼくの場合、見た目で妥協してしまうとそれを長く使わない傾向があるので、そういう意味でもベストなサイズだったんだと思います。

 えーっと、本の話。

 この本はライフハックや仕事術を綴るブログ「Lifehacking.jp」の堀正岳さんと、モレスキンファンサイト「モレスキナリー」管理人の中牟田洋子さんの共著です。堀さんは、iPhone本とEvernote本に続いて「どこまでぼくと同じ趣味の、そしてその遥か先を行く人なんだ」と思わせる仕事ぶり。中身もいつものライフハックとクロスする「理論的」な部分が基本です。一方で中牟田さんは、仕事から離れて、あくまで自分の趣味や生き方を豊かにするための「感性的」な使い方を提案しています。堀さんもブログで書いてますが、この2人のバランスがすごくよかったのだと思います。男女両方の視点が入ったのも良かったと思います。

 既成のビジネス手帳からの「卒業」を勧める堀さんは、フォーマットのないモレスキンの「自由さ」に価値を見いだします。一方で中牟田さんはというと、祝日表示さえ自分で記入しなければならないモレスキン・ダイアリーへの「手間」こそ「楽しみ」だと表現します。

 この「自由さ」と「手間」って、今の日本ではどちらかというと敬遠されてしまう要素じゃないかなぁと思うんです。新入生説明会で「カバン自由です」と案内すると、「どんなカバンで行けばいいんですか?」と保護者から問い合わせが殺到する昨今ですから(笑)みんな何かしら枠組みを求めてる。そして、できれば無駄な苦労をしないで済ませたい、と思っている。出来合いの「コース」や「セット」「マニュアル」に安易に流れる風潮を、いろんな場面で感じます。

 そんな時代だからこそ、この「自由さ」と「手間」を楽しめるモレスキンに魅力を感じてしまうのは、単に天の邪鬼な性格のせいだけではないと思うんです。こういうところで生み出されるものにこそ、「面白さ」や「深さ」、そして「自分らしさ」が見つけられると思います。もっとも、この「ガイドブック」が、そういう「手間」を回避するために作られているという構図は少し皮肉ではありますが、お二人とも「あくまで一例です」と書いてますので、決してマニュアル化せずに、その先へ踏み出していきたいものです。

 いずれにしても、使い始めると誰でも出会う「よくあるつまづき」への対応などが一通り示されていて、ぼくのように「買ってはみたものの、机の上で恭しく鎮座しています」という人には、素晴らしい一冊だと思います。個人的には一番課題だった「筆記具とどう持ち歩くか」問題がすっきり解決したので、それだけでもこの本を読んだ価値があったというものです。

 今日のこのブログも、さっき喫茶店モレスキンに書き綴ったメモを元に書いてみました。今後も自分なりに活用していきたいです。