2011年1月のご報告

 12月をお休みにしましたので、久しぶりのサークルです。ふらっと(初めて)足を運んでくれた参加者が、会場で何十年かぶりに大学の先輩に再会、なんて場面も。面白いなぁ。

 さて、今月は一緒に大学でお勉強している長期研修生のI先生に発表をお願いしました。I先生は、発音指導の「グルグルメソッド」が英文の定着にも効果があるのではないかと考えて、2通りのスタイルで検証授業をおこないました。今回はその授業の様子をビデオで振り返りながら、一般的なPPPスタイルの授業と、グルグルメソッドを用いた授業の在り方をみんなで考えました。

 まず、いわゆる「普通の授業」の方は、オーラルイントロ→口頭練習→アクティビティという流れ。飛び込みでやっているクラスということもありますが、やっぱりオーラルイントロを短時間で効果的におこなうのには相当な技術が要りますね。ビデオでみていると、やっぱり時間がかかりすぎかなぁと感じてしまいます。

 アクティビティは教室を歩き回って、見つけたペアとじゃんけんをして、手に持ってるそれぞれのカードの情報に従って会話、というよくあるスタイル。この形って、結局情報の足りないことを埋めるために、たくさん聞いて回る→ターゲット文を何度も口にするだろう、という想定のもとに成り立っています。会話せずにカードを見せちゃったりするのは当然問題外ですが、どうもそのねらい通りにタスクが活動量を保証できていない気がします。そもそもフリーペアにすることで、時間のロスが多くなります。今回は「その英文が頭に残っているか」ということを目標にしていたことを考えると、もっと機械的に何度も言わせる方が効果的だったでしょう。ただ、それを「飽きずに」「意味をともなって」練習させたい、というジレンマから生まれた活動がスタイルなんだと思います。

 最終的に練習した英文が頭に残っていまるかを見るために再生させたところ(今回はカタカナでもいいので使った英文を書かせてみて確認)、  グルグルメソッドの方が「正確に再生できた生徒が多かった」という結果が出ています。いわゆるアクティビティを通して練習したグループはなんとなくフレーズっぽいのは頭に残っていますが、それぞれの音や語はあいまい。確かにキューになるフレーズを「なんとなく」つぶやけば、相手はそれを聞いていなくても会話ができてしまいますからね。そういう状況が浮かび上がってくるとても興味深い調査結果でした。ちゃんと統計処理までされたおもしろい研究なので、どっかで発表すればいいのになぁ。

 こういうことを考えると、「会話」活動の意味や方法って本当によく考えて設定しないと、意味のない活動になってしまいますね。自分がこれまでにやってきた活動を振り返ってみても、どれくらい成果があったのか不安になります。たぶん、もっといろんなターゲット文を練習したあとで、それらを複合的に使用するような場面設定で実施してこそ、意義があるようにも思いました。

 と同時に、単純に発音指導のためだけでなく、グルグルメソッドを活用する道があるんじゃないか、と思います。もしくは生徒には発音を指導しているフリをして、生徒にたくさん英文を言わせて覚えさせてしまうような「方略」としても、活用できそうな気がします。とてもおもしろい発表でした。

 I先生、ご発表ありがとうございました。(次は14日かな?(笑))