今日は埼玉県の公立高校後期入試でしたね。
昨年度と今年度だけ、ちょっと特殊な入試日程で、先生方はもちろん受験生は苦労してるんじゃないでしょうか。公立志向とこの入試制度の変革が重なって、なかなか希望を叶えられない層が生まれつつあるように感じてるので、すごく不安です。来年からの「一発勝負」もドキドキですが、今の形よりは迷わず選べるんじゃないかなぁ。
さて、そんな入試問題の中で、やっぱり気になるのはライティング問題。
先日のKATE月例会でも話題になりましたが、埼玉県はもうしばらくの間「5文以上書く」という形式が続いています。ライティング指導の充実を願う中学教師としてはいい傾向だとは思うのですが、採点する高校の先生方はご苦労されているんでしょうね。
で、今年の問題はこんな感じでした。
【前期試験】
【後期試験】
前期の"enoy"よりは後期の"want"の方が使いやすい感じで、書きやすかったんじゃないでしょうか。
ただ、思い出を語るわけではない設定の中で"when"を使うのって、どういう場面を想定してるんだろう?
正答例を見ると、"when"でそのモノやコトとの出会いを過去形で語っておいて、"can"や"want"で願いを語る、という流れになってますね。その割には、「3語を使用する順序は問わない」とは言っているものの、"when"が一番最後に載っているのがちょっといじわるだよね。「大人になった時に○○したい」なんて未来を表す副詞節の中で"when"を使って自爆する子が出そう。昨年の"if"と同じで(→昨年の問題)ちょっと扱いが難しいところですね。
どうでもいいけど、正答例は5文とはいえ、重文・複文だらけで節を数えると9個もあります。これくらい書かないと「まとまりがある」にならないのかなぁ?
なんてことを考えると、やっぱり気になるのは採点基準。もちろん学校ごとに違うんだろうけど、県教委はどんな基準で採点してるのかを示せよ、とか勝手につぶやいてましたが、ちゃんと採点基準を出してたんですね。これまでちゃんと見てなかったので、お恥ずかしいことに今回初めて知りました。
3つの観点が設定されてて、減点幅を見る限り、上から順番に適用していくのかな。そもそも問題に正対してなければ8点減点(0点)で、それがOKの場合はまとまり具合を見て、最後に正確さを見る、という流れ。
それはいいとして、気になるのは文の数の扱い。「5文」ではなく、「5文以上」と言っているので、その書いた量はどう評価されるのか。減点法だとすると、たくさん書くのはリスクが伴います。良い文を5つ拾って採点してくれる、わけではなさそうだしなぁ。(もちろん学校によるでしょうけど)
もうこれは、学校ごとにちゃんと発表して欲しいなぁ。「うちの学校はは、こういうことができる生徒を求めています」と示しておくべきだと思います。埼玉県は各校が「求める生徒像」ってのを発表してましたけど(あれ?今はもうないのかな?)、国語の作文も含めて、採点基準を学校に任せるなら、ある程度方向性は示して欲しいと思います。
少し前にも某所に書いたけど、テレ玉で放送している現在は某塾の講師が出演している入試問題の解説番組も、昔は県教委がスポンサーになって公立学校教員が解説してたんですよね。たぶん予算削減の煽りでその役目を塾に明け渡しちゃったんだと思いますけど、やっぱり問題を作成した側のねらいや願いをちゃんと語って欲しかったなぁ、と思っています。なんだかんだいって、公立高校の入試問題は3年間の学習の目指すべき1つのゴールになるんですから。「こんな力をつけて欲しい」というメッセージを発信する責任があるように思います。県の教育を引っ張る意味では、学力調査なんかよりよっぽど意味があるし、波及効果が大きいものだと思うので。
来年度は一回だけの試験。今年までは同じ形だろうなと思ってましたから、来年からは少し形式が変わる可能性もあるでしょうね。どんな問題になるか、不安と期待がいっぱいです。
埼玉県の公立高校入試問題は東京新聞のサイトより引用しました。(→2011年首都圏公立高校入試 【東京新聞】)