時間外労働 編

 この「絵日記」のコーナーでは、これまでに学級通信の裏面に連載してた懐かしい4コマ漫画をご紹介してるんですけど、実はこれまでご紹介したほとんどが前任校での作品なんです。今の学校に移ってからはあまり作品を描けずにいます。

 その理由はこの漫画のとおりです。

 前任校は本当に「不夜城」で、職員が10時、11時まで残って仕事をしているのが当たり前だったんです。だから部活を終えて、分掌の仕事を終えて、教材研究を終えて、9時くらいになっても、まだ職員室に人がたくさん残ってる。それじゃあと、ついこんな余計な仕事にも精を出していたわけです。まぁ息抜きにもなりますし、何より生徒も保護者も喜んでくれてましたからね。

 でもある日、「いいかい、夜の9時まで10人くらい残ってたとしても、残りの40人はもう帰っちゃってるんだからね」と先輩に言われて、ハッとさせられたのを覚えています。いつしか異常な勤務形態が「当たり前」になっていました。完全に感覚が麻痺してましたね。

 そういう意味では、現任校に来てからは「当たり前」を取り戻せています。小規模校なので、前任校と同じ割合の人数が残っていたとしても3人とか4人。そうなると寂しいし、1人で残るのはかなり心細い。ということで、いつしかぼくも他のみなさんが帰る時間にはがんばって帰るようになりました。当然、仕事は片付かないので、朝早めに行って仕事をするようになりました。あ、でも単純に効率よく仕事するようにはなったかもしれません。

 となると、漫画を描く時間がないんです。

 だから誤解しないでくださいね。漫画のネタになるような楽しいエピソードは現任校でもたくさんたくさんあるんです。だから本当は今の学校でもまた漫画が描きたいんですけどね。そういう「余計な(でも楽しい)こと」をする時間的な余裕が、本当になくなってきています。そこまでやるためには、個人の時間を大きく割かなければならなくなっているのが辛いです。

 というか漫画はともかく、本業である教材研究についても、勤務時間内に取り掛かれることは稀です。ご家庭のある方々は家に持ち帰ったり、朝早く来たりしてやってるのが現状です。せっかく「教師」になったのに、教えるための準備が一番後回しになってしまうのは本当に残念です。

 最近は「生徒の学力向上のために」といって「民間の力」を借りようとする試みも見られます。それ自体は素晴らしいと思います。ぜひみんなに助けて欲しい。でもその時に「塾に補習をやってもらおう」みたいに、教師として本来やるべき部分(しかも一番楽しい部分)を民間に持って行かれちゃうのは不本意です。ぜひ「民間の力」を、「教えること」以外の部分で、教師の負担を減らすために使ってもらえればなぁと思っています。

 なんてボヤいてみましたが、この学級通信漫画は「民間」には委託できないでしょうね。もちろん絵のうまい人はたくさんいるでしょうけど、こればっかりはいつも生徒のそばにいて、生徒と同じ時間を共有して、一緒に汗や涙を流している人でないと描けないでしょうから。これからもそういう人でありたいと思っています。