Don't waste it living someone else's life

 Apple前CEOのSteve Jobsが亡くなりました。

Apple.com
 こうやって自分に影響を与えた人がこの世を去ってしまう経験は想像以上の衝撃があります。ずいぶん昔に、藤子・F・不二雄さんが亡くなった時も、同じように感じたのを思い出します。

 ひとつの時代が終わる、とよく言いますが、亡くなったその人が偉大なあしあとを残したその「世界」にとって、間違いなく時代が変わる転換点にあるのでしょうが、自分という小さな人間にとっても、何かが変わるタイミングのように感じてしまうのです。

 私自身は、8年ほど前に生徒の行事ビデオの編集のために、職場でMacに乗り換える人が増えた際に、一緒に面白がってiBookを買ったのが最初のApple経験。(もっと前に初めてパソコンを買う際にも、Steveがいない時代のPerformaと自作DOS/V機で迷いましたが、その時はDOS/V機を選んじゃいました) 

 もともと何かを創ることが好きだった自分にとって、これ以上の「おもちゃ」はなかったように思います。Macを通して、たくさんの貴重な「経験」を得ることができたと思っています。そんな「おもちゃ」って、なかなかないですよね。こんな素敵な「おもちゃ」を作ってくれたSteveに本当に感謝しています。

 彼が残してくれたのは、魅力的な「おもちゃ」だけではありません。彼の「ことば」にも、ぼくはずいぶん動かされてきたと思っています。

 Steveは以前にもすい臓がんで医師に死を宣告されたことがありました。死を覚悟し、家族とお別れをしたあとで、手術の成功により奇跡的に回復します。有名なスタンフォード大の卒業式でのスピーチでそのエピソードを語ったあと、未来ある若者たちに彼が投げかけた言葉が、今となってはさらに重く響きます。

No one wants to die. Even people who want to go to heaven don't want to die to get there. And yet death is the destination we all share. No one has ever escaped it. And that is as it should be, because death is very likely the single best invention of Life. It is Life's change agent. It clears out the old to make way for the new. Right now the new is you, but someday not too long from now, you will gradually become the old and be cleared away. Sorry to be so dramatic, but it is quite true.

Your time is limited, so don't waste it living someone else's life. Don't be trapped by dogma ― which is living with the results of other people's thinking. Don't let the noise of others' opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary.

 一度死に近づいたからこそ、彼は一秒も無駄にすることなくその短い人生をがむしゃらに生き抜いたと思います。とはいえ、誰でも死にかけてそれを実感できるわけでもないし、さすがに求めて死にかけるもんでもない。誰かの死を通してしか「自分が生きてること」や「自分もいつか死ぬこと」に気付けない自分ですが、彼や自分の大切な人の死を、自分が「死にかけた経験」と同じように考えて、1秒1秒の大切さを実感することができるなら、それも大切な「経験」になるはずです。

 まだまだやりたいことがたくさんある自分です。この先どうなるのだろうかといろいろと悩むことも多いですが、最近はやりたいことはちゃんとやりたい、と思うようになりました。そのための努力もしようと思います。いつまでもHungryでFoolishな自分でありたいです。

 本当は今この瞬間も他にやるべきことがたくさんあるんですけど(笑)、たぶんSteveへの思いをちゃんと今ここで語っておかないと、今日は仕事にならなくなっちゃう不安もあったので、ToDoの順番をあえて入れ替えて急いでこのエントリを書いています。

 彼は何よりも自分のために生きたと思うので、彼に「ありがとう」と言うのはちょっと筋違いな気もするけど、勝手に感謝しつつ、ぼくはぼくのために生きようと思います。その結果、人に役立つことができたらいいな、と思います。ぼくが彼から学んだことは、そんなことなんだろうなぁと思います。

 さて、ぼくの人生に戻るか。

スタンフォード大の卒業式でのスピーチ
 

彼の最後のスピーチとなったクパチーノ市議会でのスピーチ