所属校に顔を出して、地区のスピーチコンテストに出場する代表生徒たちの練習をお手伝いしてきました。
毎年、夏休みはALTとスピーチ指導をがんばってきたので、この夏はそれがなかったのが個人的にはすごく寂しかったんです。スピーチ指導はすごく大変ですが、とても好きな活動です。
もちろん、学年や学校全体でスピーチに取り組んだりといろいろ手立てはあるものの、最終的に細かく指導できるのは学校代表になる2人だけであることを考えると、確かにすごくコストパフォーマンスが悪い作業かもしれません。でも、その2人の生徒にとっては「人生が変わる」くらいの経験になることがあります。それは別に英語ができるようになった、というだけでなく、大げさに言えば考え方や生き方まで変わってしまった生徒もいます。そういう意味では「部活」みたいな場所かもしれません。
まず最初は、スピーチの内容を掘り下げる作業。
ぼくはここにものすごく時間をかけますので、生徒たちはこれでもか、というくらい「自分」を見つめ直し、スピーチの種を考えます。そしてこの過程で絞り出したアイディアやエピソードやメッセージが文字化されたものに改めて触れた時、生徒たちは(もしかしたら)初めて「自分」に出会います。もちろん目的はいいスピーチを創り出すため、なんだけど、毎年見ていると結果的にこの過程で、生徒がすごく成長するように思います。外国語、という少しメタなフィルターのおかげでもあると思います。
そして表現力を伸ばす工夫と努力。
ただ人目を引くためのパフォーマンスではなくて、人にメッセージを伝えるための工夫を考えます。自分ががんばって創ったスピーチを、よりわかってもらうための工夫です。特に人の感情を動かすために必要なこと。このへんは、内容とも連動してくるけど、個人的には5分のスピーチで人を泣かせるのは難しいけど、人を楽しませて笑わせることはできる、と思っています。とはいえ、全然知らない人を笑わせるのって、意外に難しい。でも努力と工夫の結果、自分のスピーチを通して人が笑ってくれた(感情を動かしてくれた)経験をすると、多くの生徒が大きく変わります。自信を持って、人前で自分を表現できるようになります。
そして、今だったら、これまで以上に発音を直してあげられるなぁ、と思います。
これまでも直してきたつもりですけど、今思えばなぁなぁでした。Before/Afterで実感できる成長ぶりを味合わせてあげられれば、何より自分の英語に自信を持たせてあげられます。今日なんかは半日だけの関わりでしたので、ちょっとしかアドバイス&練習できませんでしたけど、次に自分で担当できる時には、「超少人数指導」なわけですから、本当に濃い練習をしてあげられると思います。
今日はとりあえず持参した「Englishあいうえお」で基礎的な子音の練習→iPhoneでスピーチを録画してあげて、自分の話している様子と音を見せて(聞かせて)あげました。少しはよくなったかな。でもこうして生徒の成長を見ていると、本当にスピーチ指導したくなってしまいますね。今年は担当する生徒がいないことがすごく寂しいです。
と同時に、こんな成長の場面をすべての生徒に提供できないかなぁ、と改めて思います。
もちろん、代表生徒の変容がまわりの生徒にも影響を及ぼしていくこともあります。でも、教師としては、全部の生徒に同じような機会を提供したいと(欲張りながら)思ってしまいます。確かな成長を感じさせてあげられる指導と、自分の思いを言葉にして、伝え合う機会。スピーチに限らず、こういう関わり合いをどう授業の中で設定するかがカギでしょう。
そしてその結果、発信者である「自分」と、受信者である「相手」を自覚できるようになるかどうか。英語に限らず、日頃の関わり合いでも伝えているつもりではあるのですが、努力しないと「伝わらない」「理解できない」場面が溢れている外国語の授業でこそ、体験できることかなぁと思います。
ということは、同時に「よい受信者」を育てていくことも大切になりますね。「スキル」的にも、「意欲」的にも。
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