今月号の大修館『英語教育』はICT特集。
- 出版社/メーカー: 大修館書店
- 発売日: 2012/02/14
- メディア: 雑誌
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確かにICTを前提に成立する活動もあるだろうけど、公立学校で取り組む場合、そればかり追いかけるのはナンセンスでしょう。「機械」はきっかけに過ぎないんですけどね。特集の中でも、お世話になっているO先生がそういうことを書かれていましたね。ぼくはそういう活用方法に興味があります。
さて、学校教育における「教師のICT使用」については、これまでにも「視聴覚教育」だとか「メディア教育」だとか言葉を変えて時どきに流行りがありましたが、最近のタブレット機器などの隆盛は、「LL教室」以来の「学習者のICT利用」を促進するきっかけになりそうですね。
私がICT関係の機器やサービスに期待しているのは、「繰り返しができること」と「個別化が簡単なこと」です。まさにLL教室なんかもそうでしたが、各自が自分の習熟度に合わせて何度も繰り返し練習したり、録音してチェックしたりできること。もちろん、教師も生徒一人ひとりのパフォーマンスをチェックできます。そして、学習者の習熟度に応じて異なる課題を与えられる点は、Slow learnerにもFast Learnerにも対応できるまさに理想的な環境です。
ただし、こういった「学習者のICT利用」は、自治体や学校が、生徒が十分に使える数の機器を用意してくれるかに関わってくるので、いち教諭としてどこまで追い求められるのかは未知数です。となると、こういう機器やサービスは、学校教育の場面ではなく、家庭での個人学習の場面の方にこそ効果がありそうな気がします。実際、英語学習を考えると、「教材」になりうる素材がネット上にはたくさん溢れています。学び方さえ教えてあげれば、生徒が自力で力を伸ばしていくチャンスがいくらでもあります。
しかし、公立学校の教師として気になるのは、それではさらに学習者間の「格差」が広がってしまうのではないか、ということです。家庭でそういう機器やサービスに触れられる生徒は全員ではありません。とすると、ICTの隆盛に合わせて学校の授業で考えなければならない「ICT対策」は何も「授業内での活用」だけにとどまらないのかも知れません。
もっとも、公立学校教員としてはすぐに「格差を埋める」ことを目標にしてしまいがちですが、それぞれの習熟度に合わせて上位の子も下位の子もそれぞれ伸ばしてあげる事も大切なわけで、そうするといつまでも格差は縮まらないじゃん、というジレンマも抱えています。まずは「機会の不平等」によって産まれた格差だけでも埋めていくことが目標になるのでしょうかね。
ちょっと政治的なことになりますが、そういう意味では、県や市などの自治体がトップ校にばかり「私立に負けるな」とお金をつぎ込んでる最近の風潮も微妙ですよね。人やお金を注ぐべきところを、「東大○人」みたいな数値ばかりで決めないで欲しいと願うばかりです。
さて、現場に戻ったらICTをどう活用しようかとiPad 1を眺めながらいろいろ思い巡らすんですが、それ以前に、教科書の音声をどうやったら生徒に家庭で聞かせられるかということが個人的には課題です。いろんな意味でCDプレーヤーのない家庭も増えてきてるかも知れませんよね。デジタル教科書を生徒が持つようになれば解決できる問題ではありますが、まだまだかかりそうかなぁ。