どっちをやっても答えが同じになるプリント

 ずいぶん昔に書いた「『答え』が『次の問題』になるプリント」と同じ頃に考えついたものなんですけど、なんだかんだずっと記事として書くことができずにいたアイディアです。当時よく活用していたワークシート作成方法で、「一斉授業で習熟度学習」を実現するひとつの方策と言えるかもしれません。

 といってもそれほど大袈裟なものでもなくて、ただ単に「レベルを変えた2種類の文法練習ワークシートを作って並べて印刷する」というだけです。ただし完成する英文は同じになるようにするのがポイントです。

 例えば左側の「初級コース」は、

(1) I (     ) Kendo yesterday.
  私は昨日剣道を練習しました。

と穴埋め問題にしておくのに対して、右側の「上級コース」では

(1) 私は昨日剣道を練習しました。

と日本語だけを提示して和文英訳問題にする、といった感じです。

 他にも、左は並べ替え問題にしておいて右は1語自分で補充して並べ替えるようにするとか、穴埋めのカッコ数を変えるとか、レベル差の付け方はいろいろあると思います。生徒の様子を見ながら適度な差をつけておくとよいでしょう。生徒はどちらのコースで取り組むかを自分で決め、プリントを半分に折って、取り組む側だけを見ながら解答していきます。

 到達度別に異なる問題やタスクを用意する実践をされている方は結構いらっしゃると思いますが、このアイディアのキモはやはり「どちらをやっても答えが同じになる」ようにすることろにあります。

 メリットとして考えられるのは、まず同じ時間でもそれぞれの生徒に合った負荷がかかるので、クラス内の生徒の作業進度をある程度整えられるということです。そして、答え合わせの時は全文を答えさせれば、実はその生徒がどっちのコースをやったかは問題にならない(他の人にはわからない)というのもポイントです。

 そして授業後には、生徒の手元にもうひとつ「問題」が残ります。特に授業で基礎コースに取り組んだ生徒にとっては、ちょっとだけ難しくなった問題にあとでもう一度チャレンジできますから、テスト勉強などにも活用できるわけです。「解答」は、左側に載ってますしね。

 私はさらに「中級コース」というのを設けていて、ふだんは左側の「初級コース」をノートで隠しておいて、躓いた時だけヒントがわりに左側をちらりと覗きながら、右側の「上級コース」の問題に取り組む、というコースです。(ちなみにコースの名称は当時違ったものを使ってたと思いますが、この記事内では便宜上「初級」「中級」「上級」と表しています。お好きな名称をお使いください。)

 ワークシートの実物サンプルをお見せしたいところなんですが、なにぶん私が窓際族(Windowsユーザー)時代の、しかも一太郎ユーザーの頃に作っていたプリント類ですので、ファイルは古いHDDの中にあるんですけど自分でも今開くことができません。残念。

 ただ、先に「初級コース」の問題を作ってから、それをコピー&ペーストして、カッコを増やしたり、選択肢を消したりとちょっと手を加えるだけでいいので、慣れればふだんのプリント作成の1.25倍くらいの時間があれば作れるようになります。2枚分作るからといって2倍かかるわけではありませんから、よかったらぜひお試しください。