「セミナー」の役割、「サークル」の役割

 月曜日に某セミナーに行ってきました。初参加。

 年を追うごとに「セミナー」というものにあまり惹かれなくなってしまって、近くでやっているのは知りつつも行ったことがありませんでした。でもこの2年間でいろいろ見てくることを目標にしてたので勇気を出して初参戦。

 行ってみると、面白い発表も聞けましたし、何よりローカルには出会うことのできない方々と新たに知り合いになれたのが収穫でした。こういうのが「セミナー」の魅力でしょうね。個人的には、前から気になっていたこの方のお話が聞けたのがよかったです。

 生徒を動かす上で必要になる10個の「ルール」は、中学校教師としては「当たり前」なことなのかも知れませんが、それをちゃんと徹底してやらせているというのがポイントでしょうね。口で言うだけならみんな言ってるけど、それを確認する手立てがしっかりあって、そこで生徒と教師の信頼関係を築いていらっしゃるんだと思います。

 生徒との関わり、というところはこの2年間は遠ざかっていたところなので、4月からに向けてとても刺激になるお話でした。先日の松本先生もそうだけどやっぱりお人柄(だったりキャラだったり)が大切なんだなぁとしみじみ。教育は人なり、ですね。

 さて、「セミナー」については思うところがいろいろ。

 最近の学生さんは(少なくとも昔のぼくと比べて)すごく熱心で、いろんなセミナー等に参加して勉強しているように思いますが、学部生時代に「すごい先生」の実践ばかり見聞きしてしまう弊害もあるんじゃないか、と思うようになりました。下手をすると、やがて同じ職場で働くことになる「先輩」のよさが見えなくなってしまいそう。もしくは実際に教壇に立ってみて、自分のやってることと「すごい先生」の実践のあいだに絶望的な壁を感じてしまうこともあるかも知れない。だからできるなら、「すごい先生」のDVDや講演会はほどほどにして、地域のふつうの学校の公開授業をたくさん生で参観しておいた方がいいと思います。

 複数の「すごい先生」の授業DVDを見て、「なんですごいのか」とか「共通するすごさ」を考える作業なんかはとても役に立つと思うけど、経験のない学部生時代にそんなメタな見方ができるかも疑問です。もしそういうことをさせるなら、今後のためにそういう「授業の見方」まで指導することもセットにしておくべきでしょう。

 学生に限らずですが、セミナーなどで「タテの関係」で学んできたことを、同期や同僚という「ヨコの関係」で語りあえると、学びは深まると思います。できればそのセミナーに行ってない人に「こういうの聞いてきたんだけど、この活動やってみない?」と自分の言葉で説明するプロセスが大切ですね。「なんでそんなのやるの?」と言われて、ちゃんと自分の言葉で説得できれば、やがてそれは「自分の実践」として血や肉になっていく気がします。

 「セミナー」に参加された方々に、ちゃんとそういう場があるんだろうか、とふと思ったのです。

 そんなヨコの関係こそ「サークル」の目指すところなんだと思っています。そういうことができる場所にしたいと思って、サークルを運営しています。ただ今回の目的で言えば、サークルって言っても別にそんな大袈裟なものである必要はなくて、個人的には3人くらい集まって話せればそれで立派な「サークル」だと思ってます。別に部屋を借りてお金を集めなくてもいい。ファミレスでご飯食べながらでもできます。空き時間にコーヒーお茶を飲みながらでもできます。だから、みなさんそれぞれの場所で小さな「サークル」を始めませんか?

 「セミナー」の数よりも多くの「サークル」が生まれていかないと、せっかく講師の先生方が惜しげもなく披露してくれた実践やアイディアが、深まっていかないと思います。特に若い先生方のあいだで、そんなヨコのつながりが少しずつ広がっていくことを願っています。

 なんてことを書いていたら、そんなことをここにも書いたのを思い出しました。

成長する英語教師をめざして―新人教師・学生時代に読んでおきたい教師の語り

成長する英語教師をめざして―新人教師・学生時代に読んでおきたい教師の語り

 本書もおかげでさまで多くの方に手に取っていただけているようです。この春、英語教師人生をスタートする方、英語教師を目指そうと学び始める方に、ぜひ読んでいただきたいです。