自己表現と和文英訳のあいだ ―4コマ漫画で英作文のススメ―

 昨日静岡県教育会館で開催された、中部地区英語教育学会静岡地区研究会にお邪魔し、ライティング指導についてお話をさせていただきました。

 今回は浦野先生(北海学園大学)と二本立て講演。開演前に使用機器をそれぞれの鞄から取り出したら、MBAやらLogicool Cubeやら恐ろしいくらいカブってて笑えましたw(まぁ私が浦野先生の真似をしてるだけですけど) でも私のMBAとプロジェクタの相性が悪く、結局浦野先生の機器をお借りすることに…。

 私の方はいつもと同じお話。修士論文ネタをご紹介しつつ、英作文を書く際に「書く内容」を自己決定することが、作文の質に何か影響を与えちゃうんじゃないの?だったら、「書く内容」をこっちから提示しちゃって、英語そのものにフォーカスする授業もしたほうがいいんじゃない?というご提案。

 いつもと同じように「4コマ漫画で英作文」をご紹介しました。院生時代から同じ話しかしてないようで心苦しいので、今回は現場での実践を踏まえて、具体的な指導例も加えてお話しました。

 1つの4コマ漫画でも、(1)セリフ入れ、(2)三人称で絵を描写、(3)一人称でなりきり日記、と3パターンのやらせ方があるので、生徒の習熟度によって負荷を変えたり、授業→宿題→テストで同じ漫画をスパイラルで活用できるんじゃないかな、というご提案です。参加者のみなさんにも、実際に書いてもらい体験していただきました。


 こういう紹介をすると、「4コマ漫画を授業で使いたいけど、ちょうどいい漫画がないのよね」というお声をよく聞きます。ということで、今回はその場で参加者のみなさんに漫画を描いてもらっちゃいました。漫画を描く気軽さや楽しさ(あるいは難しさ)を体験していただくと同時に、どういうものがあれば教材として面白いかを考える機会になっていれば嬉しいです。私としても、みなさんに描いていただいた「ネーム」を随時「作品」にして、ここでご紹介するようにできればとこっそり目論んでの活動でした。お座敷のたびにみなさんにお願いしていけば、結構ネタが集まりますよね。

 描いてもらった「ネーム」は最近買ったばかりの携帯型のScanSnap S1100でその場でスキャン。作品はすぐに返却できちゃうし、これは便利だなぁ。今後、旅のお供必須アイテムになりそうです。

FUJITSU ScanSnap S1100 FI-S1100

FUJITSU ScanSnap S1100 FI-S1100

 浦野先生は大学のESPプログラムの中でのTBLTの取り組みのご紹介でした。タスクを設定することで、学生がより実践的な力を身につけていく様子が伺えました。

 私と浦野先生の話に共通するのは、Task Repetitionの話だと思います。タスクの負荷を上げながらスパイラルに繰り返していくことの有用性ですね。それから、文法シラバスにとらわれないタスク設定の必要性あたりでしょうか。中学校教員と大学教員それぞれの立場での指導のお話でしたが、それほど距離感を感じない内容になっていたのではないかと思います。浦野先生の講演資料は先生のウェブサイトに近いうちにアップされると思うので、そちらもぜひ御覧ください。

 講演の後は前田先生(広島大学)と司会の亘理先生(静岡大学)を交えてのクロストーク。話が拡散しがちな「シンポジウム」とは違って、亘理先生の狂言回しの腕が光る、中身の濃い会になりました。前田先生の「使い方」が贅沢でしたね。今回の静岡行きについては、亘理先生と永倉先生(常葉学園短大)のおふたりに大変お世話になりました。貴重な学びの場をいただき、本当にありがとうございました。

 さて、今回の会にはこのブログを読んでくださっている方々も来てくださっていました。実物よりハンドル名とアイコンの方が知名度が高くなりつつありますが、「私の名前」よりも「私の考えていること」が広く知れ渡っていくことのほうが私は嬉しいので、ちょっと怖さもありますが、多くの方にブログを読んでいただき、とてもありがたいです。「読んでますよ」というお声だけでもありがたいのに、ご丁寧におみやげまでいただいてしまい、かえって恐縮です。ありがとうございました。

 私の発表資料はこちらでダウンロードできます。
英語_中部地区英語教育学会2014_発表資料.pdf 直
20140329_中部地区静岡_配布資料.pdf 直