ALTに日本語でツッコむ

 昨日、ALTと話していたら、いろいろな発見がありました。

 面白かったのは、授業の最初にALTがsmall talkとして英語で話している時の私のリアクションについて。実は、最近ALTが英語で話している最中に、日本語で相槌を打ったり、ツッコミを入れたりしています。最初は無意識にやっちゃってたんですが、最近は結構意識的にやっています。そしたらALTも気づいてたみたいで、「あれ、いいよね」という話になりました。

 うちのALTは、中学生のその時点での既習文法などは把握しているけど、語彙の選択などの点では「よくわからない」そうで、スピードも含めて、割りとナチュラルに話してしまいます。私はそれでいいと思っているので、そのままにしてもらってますけど、難しい語彙が登場してきた時は、私も"What is ◯◯?"なんて聞き返して、言い換えをしてもらっています。

 中学生でもキャッチできそうな英文であれば、そういう英語そのものに対するツッコミはせずに、内容に対して日本語でツッコミを入れます。英語と日本語で会話をしているようになるので、ちょっと変なんですけど、これによってslow learnersもALTの話の内容を推測しやすくなるという利点があります。日本人教師が必要に応じて翻訳してあげることもできるんでしょうけど、ALT曰く「それだと、情報が伝わるまでに時差が生まれてしまって、リアルタイムに対話を共有できている満足感が味わえないだろう」とのこと。なるほど。

 fast learnersは、ALTの話を概ね理解しているはずですが、「今なんて言ってた?」なんて内容確認しようとしても、あまり自信がないのか手を挙げてくれません。でも、私が日本語でツッコんであげることで、「ああ、自分の理解で合っているんだな」と確認することができて、安心するとともに、自信を深めることができると思います。

 ALTの話が簡単なときは、私も無理に日本語にしないで、英語でリアクションするようにしています。そのへんはうまく調節しているつもりです。

 日本語にしても英語にしても、リアクションするときには、あえてALTの言葉を繰り返すようにしています。

 ALT: I went to Tokyo last night.
 JTE: Oh, you went to Tokyo!

みたいな感じですね。これによって、1回目に情報をキャッチできなかった生徒にも、追いつくチャンスが生まれます。

 このへんは、英語教師として基本的なテクニックと言えるでしょうけど、私はこの効用を、最近ハマっている落語で再確認しました。落語って、噺家が1人二役やりながら、結構意識的に同じセリフを(別の人の口を借りながら)繰り返しています。あるいは、相手が何か言ったふうに演じて、リアクションからセリフを想像させたりします。(下の動画の「先生」のリアクションがそんな感じ) うまいなぁ、と実感します。「もう1回聞こう」とCDを再生するのではなく、自然に何回も聞かせてしまう「聞かせる」ための工夫ですね。こういう知恵を、もっといろいろ吸収したいなぁと思います。

 そして、何よりもそういうさりげないことに気づいてくれて、うまく活用してくれるALTに感謝ですね。そんなことを感じた、昨日の懇談でした。