3年間の最後の授業

 3月1日・2日に県立高校入試が終わりましたので、そちらについてはまた別の記事で触れるとして、2月いっぱいで中3の授業は終了ということで、今年度の(というか3年間の)最後の授業について少し書き残しておきます。

 最後の授業では、これまでの集大成ということで、「修学旅行にもう一度(ただし今の班で)行くとしたらどんなコースにする?」を、英語のみで話し合ってコースを決めるタスクに挑戦しました。

 みんなの希望を「確認」したり、自分の案を「提案」したり、自分が行った時の「エピソード」を語ったり、どっちが先がいいか順番を「検討」したり、食べ物を何にするか「相談」したり、といろいろな言葉の機能を求められるので、よりリアルに近いタスクとして面白かったです。

 とはいえ、早い段階で京都のガイドブックを配布してしまったクラスでは、「指差しコミュニケーション」も生まれてしまったので、ガイドブックの投下タイミングが重要ですね。ある程度、自分たちの希望が出尽くしてから、順番を固める段階で投下したほうが効果的でしょうね。

 今回は15分くらいでざっくりコース案を作るところまでしか求めなかったんだけど、宿泊ホテルの場所や予算などもう少し細かい条件をあえて設定したほうが、話し合う必要性と必然性が生まれて、活動としてはさらに面白かっただろうなぁと思います。

 最後に各グループからコースの発表をしてもらったけど、こちらもたくさん時間があれば、"What are you going to do there?"みたいなツッコミをもっと入れたかったな。まぁ、質にこだわってじっくりやらさせたいけど、あまりPreparedになり過ぎちゃうにもスピーキングとしては面白くない。その微妙なラインをねらったために、「どっちつかずの欲張りタスク」になっちゃってましたね、今回は。

 私としては、「学活でやってるような話し合い活動は、英語でもできるんだ」というのを実感してもらうのが最大のねらいだったので、それなりに英語での会話を通してタスクをクリアしようとしていた班が多かったので、とりあえず良しとします。

 この3年間は「意味順」を系統的に文法指導の中に位置づけて指導できたことは個人的によかったと思います。作文指導にも、ある程度リンクできたかなと思います。特に名詞のカタマリについては、ずいぶん感覚が定着したと思います。

 一方で、今回の旅行プラン決定タスクみたいなものに向かって段階的に指導することや、あるいはタスク後にFonF的にフォロー(フィードバック)するようなスピーキング指導がもっと系統的にできていれば、最終的に今日のタスクでもっと達成感を感じさせてあげられたんじゃないかな、とは思います。トータルのバランスとして、ちょっと文字指導に偏ったかな、とも思います。昔は音声推しだったのに、ぼくもずいぶん変わりましたね。

 いずれにしても、久しぶりに3年間教えた生徒たちなので、責任の重さを感じています。高校の先生に受け取ってもらう上で、「中学で何やってきたんだ?」って言われたら、基本的に私の指導ですからね。ドキドキ。

 5年前の3年生は1年間だけだったし、3年前は2年間だけだった。でも、いろんな先生に教わるほうが生徒は幸せだよね、という話を今年の生徒にはしたばかり。結局「適性処遇交互作用(ATI= Aptitude-Treatment Interaction)」じゃないですか。だから、私はレッスンによっていろんな指導法・学習法を試してきたつもりです。自分に合うものが見つかるようにということで。

 今回のタスクでは、結局、単文を組み立てることはできるんだけど、どういう文を、どのタイミング(順番)で使うのか、というパラグラフレベルでの組み立てで戸惑っている生徒が多かった印象。こういう文を言ったら、次はこんな文が続くべき、というディスコースの明示的なインプットが足りなかったかなぁと反省。

 でもそういう文の論理的な組み立てって、そもそも日本語でもできてない中学生が多いですね。面接練習で志望動機を聞いてて痛感します。前の文と次の文がつながらない! だからそういうのは「まずは国語(母語)でやろうよ!」とも思うけど、一方で、英語を通して初めてメタに意識できることかもしれないから、英語を通して身につけることもできるかもしれないという淡い期待もあります。

 まぁ、行事のあとの作文とか、いろんな場面で文章をテキトーに書かせすぎている実態もあると思います。今の中学校は。このへんは、英語科に限らず、中学校教員で共有していくべき言語教育の課題だと思います。「言語活動」とか「思考・判断・表現」なんて言葉が教科の枠を超えて飛び交っている今だからこそ、チャンスかもしれません。

 いずれにしても、3年間400時間を超える授業を生徒とともに取り組んできて、少しでも生徒の英語力向上に貢献できていれば嬉しいです。県の学力調査結果から言える私のささやかな自慢は、平均点が高いとかじゃなくて、前年度より「伸び」が見られた生徒の割合が限りなく100%に近かったこと。英語が得意な生徒も苦手な生徒も、「それぞれ」「それなり」に、少し上のレベルに到達してくれていたことは、私の自信になりました。

 高校入試の結果はこれからですが、きっとよい結果が待っていると信じています。本当によく頑張ってくれた生徒たちだったなぁ、と改めて3年間の取り組みに感謝です。

 さて、あとは立派な卒業式ができるように、最後の声かけを頑張ります。