2011年11月のご報告

 SETC&ASTEK11月の例会は、昨日「ライティング指導」をテーマに開催されました。地域の英語の先生方だけでなく、英語教師を目指す学生さんやライティング指導をアカデミックに研究されている方まで、いろんな方々にお集まりいただき、にぎやかな会になりました。

 序盤は、埼玉県の高校入試問題を分析してみました。2002年度から2011年度までのライティング問題を分析して、どんなタスクを求められているのか、そのタスクによって引き出されそうな文法項目や語彙はどんなものか、をみんなで考えました。全体的に眺めてみると、その時代その時代の「流行」が見られて面白いですね。その割には、使用を求められる表現はあまり変わらなかったり。

 そのあとは、参加者のみなさんで「2012年度入試のライティング問題を大胆予想!」ということで、予想問題を作ってみました。これがとても面白かったです。流れから行くと、これまでの今年は問題傾向が変わりそうな年度です。最近の傾向から、問題形式を考えたグループ、ズバリ「トピックはこれ!」と予想されたグループもあって、どこかピタリ当てるんじゃないかと、本番が今から楽しみです。授業でも生徒に練習させてあげたいですね。今、作成した問題をまとめてますので、次回のサークルに来てくださった方にはそんな力作をお配りできると思います。

 最後は、最終的にそんなタスクをクリアできるようになるために、どんなライティング指導を授業でおこなっていくべきか、アイディアの交換をしました。実際に授業やテストで使ったプリントや生徒の作品例を持ってきてくださった方もいたので、それらを眺めながら、(1)教師のチェックが入った解答例をもう一度書く作業の大切さ、(2)3文を1ユニットとして書くパタンを身につけさせる指導、などを共有しました。

 ライティング指導は、一番時間と手間がかかるので敬遠されがちですが、音声面と合わせてバランスよく指導していくことが大切だと思います。時間節約のアイディアや生徒が乗ってくる指導法などを今後もシェアできればと思います。

 当日私がご紹介した書籍等はこちら。

〈意味順〉英作文のすすめ (岩波ジュニア新書)

〈意味順〉英作文のすすめ (岩波ジュニア新書)

 京都大学の田地野先生が開発した「意味順」に従って英文を作る原理原則を紹介。中高生向けに書かれた本ですから、わかりやすいです。後述の「意味順ノート」の活用法がわかります。
パラグラフ・ライティング指導入門―中高での効果的なライティング指導のために (英語教育21世紀叢書 17)

パラグラフ・ライティング指導入門―中高での効果的なライティング指導のために (英語教育21世紀叢書 17)

 アカデミックな観点から書かれたライティング指導本ですが、中高教員が具体的な指導プロセスを提示してくれているので、中から高への橋渡しも含めて長期的なビジョンを持ってライティング指導を考えるきっかけになります。
中学英語 高校入試力に挑む〈第3巻〉作文入試力

中学英語 高校入試力に挑む〈第3巻〉作文入試力

 埼玉県の瀧沢先生が書かれた入試に挑むシリーズの3作目。全国の高校入試問題を分析して、タイプ別に生徒がどう取り組めばいいのか、具体的なストラテジーを提案しています。問題例も充実しています。