「20年後の自分を三人称で紹介する伝記」を回し読む

 今日が最後の授業。しかも午後だったので、3年間すべての授業のオーラスが英語、というクラスもありました。

 「20年後の自分を三人称で紹介する伝記」もいよいよ最終回。

 「伝記」は、「20年後、35歳になった自分」の「概要(どんな人か)」「幼少期の様子」「中学時代の様子」「転機」「近況」をそれぞれ4〜5文ずつ書いて、1つにまとめたもの。少しだけ自分と距離をとって冷静に書けるように、あえてhe / sheを使って三人称で書かせています。数回に分けて少しずつ書いて、チェックを受けてきたものを、先週綺麗に清書しました。難しい語彙には「注釈」をつけさせました。

 で、今日はその伝記をみんなで回し読んで、コメントするという活動。これって完全に文字中心のWriting&Readingだけど、立派な「コミュニケーション活動」ですよね?むしろ、習熟度の差を時間で吸収できるので、音声会話よりコミュニケーションが充実する、とも個人的には思っています。

 バイアスがかからないように、読む際は匿名にしたほうが面白そうなので、自分の名前のところをマスキング。回収してコピーを取り、裏面にはコメントを書き込める欄を印刷。

 Readingのやり方は「ポケモン」と同じ多読方式。伝記を教員がランダムに配布して、読み終わった生徒はコメント欄を記入し、教卓に戻しに行きます。そこにある別の伝記を受け取って、席に戻って読む。あとはひたすら繰り返しです。

 みんな真剣に、そして楽しそうに読んでいました。「これ、面白いよ、読んでみな!」なんて声も聞こえてきます。私は教卓のところにいて、コメント数が少ない作品がないようにコントロール。あとは時々質問に答えるだけ。生徒が勝手にコミュニケーションをしているだけの時間。いい時間です。

 20分ほどReadingを楽しんだら、コメントのついた伝記を本人に返却します。しかし、困ったことに名前をマスキングしてコピーしてるから、誰のものかわからない(笑)

 しょうがないので、私がキーワードを読み上げて、本人が取りにくることに。これで実質的に、誰がどれを書いたかバレる仕組み。だいたいは内容と字から誰が書いたかわかってる感じでしたが、「あれ、アイツだったのか!」というどよめきもいくつかあったから、やっぱり匿名って面白いな。

 授業の最後にお話したのは、「見えないものを見つめる目を持とう」というお話。ここ何回かそういう話をしているんだけど、今回の「見えないもの」は「読み手」の存在。書くときに、読み手をどのくらい意識できたか、ということです。字の丁寧さ、注釈の数、内容と気を配れるところはいっぱいあります。特に注釈は重要で、どんな人にも読んでもらいたいなら、どこまで注釈をつければよかったのか、を考えてもらいました。

 頑張って書いた作品を読んでくれた人が、ちょっと想定外のコメントを書いてたりすることがあります。書き手があとちょっと努力と工夫をしていれば、ちゃんと伝わったかもしれない。そんな可能性を考えながら、表現できる人になってほしいな、というお話をしました。

 ちなみに、生徒たちの間で伝記がうまく巡回するためには、余分に何枚か用意しておく必要があるのですが、今回は別のクラスの面白い作品数点と、私の伝記を加えておきました。広告会社への就職試験と教育実習の日程が重なって、教育実習を選んだ、という過去の選択が書かれています。

 読んでくれた生徒からのコメントを見て、涙。いい生徒たちに恵まれたなぁ、と改めて感謝しています。

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 そんな彼らも、明日は県立高校入試。頑張ってきて欲しいなぁ。